さて、いよいよ競技開始だが、飛行船の浮力やシステムを調整するには時間がかかる。司会者の話のネタも尽きた頃、ようやくトップバッターのMudskipperが準備完了。
スタートと同時に勢いよく上昇した飛行船は、そのまま天井近くまで行ったかと思えば、また唐突に制御を取り戻して下降してきた。1つめのウェイポイントをクリアして+1点。しかしその後、出発地点に戻ったかと思うと、ジオラマの木に引っかかってしまい、リタイアとなる。
2チーム目の「can not!!」は、カラフルな風船で浮力を増した機体で登場。しかし、機体にファームウェアをダウンロードしようとしたところで通信エラーが発生し、飛び立てなかった。原因はハードウェア障害らしい。残念。
3番目の「ムンムン考房」は、金沢工業大学とNECソフトウェア北陸の産学混成チーム。学生が中心になって開発を行い、NECソフトウェアが技術サポートを担当したという。
ゴールドとシルバーで2段重ねの機体は、ゆっくりと上昇し、そのまま天井まで行ってしまった。もちろん、復帰が難しいほど上空に上がってしまったら、そこでリタイア。機体を回収するために、先端にガムテープを付けた「釣り竿」が登場することになるのだ。
釣り竿が引っ込んだら競技再開だ。富士通デバイス、キャッツ、そして専修大学の頭文字をとった「FC専士」チームは、グレーのエンベローブを2つ組み合わせたデュアルタイプの飛行船で挑戦した。それぞれのロゴをあしらった船体は、シールではなく、しっかり書き込んだものだという。メンバーの熱意が感じられる。
超低空飛行で動き出したFC専士の飛行船は、1つめのウェイポイントになっている風船の足下をかすめ、ゴール地点となるクレーター上空へ。ウェイポイントでは高さが足りずにポイントにならなかったが、初のゴール着地となるか?
結局、クレーター上空を通過してそのまま観客席を強襲。場外リタイアになってしまった。
5番目は、東海大学の「すりぃあみぃごず」。Mudskipperと同じ機体で参戦した。2つめのウェイポイントをクリアして1点ゲットするも、その後、吸い寄せられるように観客席の方向に。また場外でリタイアだ。
最後はメビウスの「New Wave System」チーム。こちらもゴールドとシルバーの機体を使っている。
低空飛行でうまくゴール付近まで到達するも、クレーターの縁を越えられずに残念無念。その後、飛行船はやっぱり観客席方向に流され、あえなくリタイアとなった。どうやら、白熱するバトルに観客も熱くなり、その熱気で上昇気流が発生したようだ(?)。
予定時間を大きくオーバーしたものの、一応競技は終了。結果発表と表彰式に移った。結果は写真の通り。「すりぃあみぃごず」と「Mudskipper」が1ポイントずつをゲットし、同時優勝を飾った。
ポイントは低空飛行だったが、審査員は一様に満足げだ。
「中級レベルの組み込み技術を実践するという名目で始めた大会だったが、モデリングをみても予想以上に難しかった」(永和システムマネジメントの小林靖英審査委員)。
「設計モデルを書いて、コードに落として、制御するという手順は、きっと飛行船が浮き上がるだけでも大変だと思う。ポイントを取れなかったチームも、ファーストステップはクリアしたはず」(国立情報学研究所の鷲崎弘宣審査委員)。
審査委員の方々がキレイにまとめてくれたが、ここで最後のトラブル発生。賞状を1枚しか用意していなかったため、表彰式は見送りになってしまった。
「賞状は、後でイメージデータを送るので、好きなだけ印刷してください」。
なんとも大らかな、飛行船ロボットコンテストなのでした。
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