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理想の検索とは何か?――無敵会議、「検索」をテーマに開催

» 2004年10月28日 03時24分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 「百式」の田口元氏と、「Passion For The Future」の橋本大也氏が主催する異業種交流会議式イベント「無敵会議」の第10弾が、「検索」をテーマに行われた。

 田口・橋本両氏から検索全般についての最新動向などが紹介されたほか、Yahoo!Japanからはインターネット検索についてのセッションが開かれた。また、参加者全員の参加による、“まだ誰も考えついていない検索”について模索するディスカッションも行われた。

photo 「検索」をテーマに行われた第10回の無敵会議は120人あまりの参加者を集めた

高性能化する検索エンジン――しかし、まだ力不足

 セッションでは、Yahoo!Japanに5月から導入された新たな検索システム(YST:Yahoo! Search Technology)について、Yahoo!JAPANリスティング事業部 検索企画室 プロデューサーの宮崎光世氏が解説した。

 非常におおざっぱに言ってしまうと、検索エンジンは「検索用のデータを収集する」「集めたデータをインデックス化する」「検索結果の順位を表示する」という3ステップで検索結果を表示する。

 「データ収集」についてはクローラーがその収集を行い、「インデックス化」では地域・言語の判定やコンテンツ内容確認、重複除去などの作業が行われる。そうしてインデックス化された検索結果は、検索キーワードにどれだけ深く関連しているのか、サイト自身がどれだけの価値を持つのかなど複数のパラメーターを加味したのち、表示順が決め、ユーザーに示される。

 ヤフーは検索エンジンとしてgooやGoogleなどを利用していた時期もある。その同社が新エンジンを採用したことについて、宮崎氏はその理由を「inktomiをベースにAltavista、AlltheWebなどの技術をミックスした最高レベルのものである」「日米のヤフーで共同開発したものであり、ブラックボックスの部分がない」という2点を挙げた。

 そのほか、検索エンジン全体の話として、上記のような手法に加えて、アンカーテキスト(リンクに使用される言葉)や、多くのページからリンクが張られている方がページの重要性が高いだろうと推測するリンク分析など、さまざまな検索効率を高める手法が開発・導入されているものの、「まだ必要な情報を即座に見つけるには不完全だ」と宮崎氏は言う。

「誰が検索しても同じ結果」ではダメ?

 「では、どんな情報を活用すれば、どんな検索が可能になるのでしょうか?」

 宮崎氏の言葉を受ける形で、無敵会議の名物、“全員参加の会議”が始まった。

 参加者にはA4のシートが渡され、今回のテーマに沿った「いままで誰も目に付けなかった( )の情報を活用することにより、( )が可能に! 名付けて( )アルゴリズム」という文章の穴埋めと、そのアルゴリズムで検索した検索結果画面を図で表すというテーマが与えられた。

 個人でアイディアをまとめて記入・提出した後には、近くに座る6人程度でグループディスカッションを行い、グループとしてもシートを提出した。

photo グループディスカッションの様子。

 田口氏が披露したのは「(銀行残高)を活用して、(限度金額だけでのインターネットショッピング)が可能に! 名付けて(まーくん、だめよ。また今度ね!)アルゴリズム」。検索結果も、自分の銀行残高で買える範囲しか表示されず、「(残高が少なければ)車が欲しくても中古車しか表示されない(笑)」(田口氏)という。

 グループ賞を受賞したアイディアは「(汗や心拍数などの生体情報)を活用して、(多くの人をドキドキさせること)が可能に! 名付けて(テンション検索)アルゴリズム」。マイクやセンサーなどを使って人のテンションを測定できるようにしておき、人のテンションを高くしたコンテンツが検索結果の上位に上がる仕組み。

 また、「(ぼやきや独り言)を活用して(ひとりカウンセリング)を可能にする」といったアイディアや、「(文章がどんなパターンで書かれているか)を活用して(解説型や批判型、推薦型などの分類)を可能にする」といったアイディアが個人賞を受賞した。

 「誰が検索して同じ結果。そうした現状に対してフラストレーションがたまっているのではないかと感じます。急いでいるのか、のんびりでいいのか、どんな場所からなのかなど、さまざまな状況に対応できる検索が望まれているのではと思いました」(Yahoo!Japan)

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