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「著作権の利用者とも積極的に議論すべきでは」――著作権法への提言

» 2004年11月02日 20時31分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 文化庁 文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会の第3回審議が行われた。前回の審議では関係各団体から提出された100以上の著作権法に関する要望が議題に乗せられたが、今回は各出席委員が自身の考えに基づく要望を述べた。

 「共同著作物(第65条)について、他の権利者との利権調整などが制度的に不明確」(東京地方裁判所判事 飯村敏明氏)、「私的複製(第30条)の問題など、権利制限規定について全般的な見直しが必要」(東京大学教授 大渕哲也氏)、「同一性保持権(第20条)を、主観的な基準から客観的な基準に修正する必要があるのでは」(弁護士 山本隆司氏)

 各委員からは上記のような各条文に対する具体的な要望のほか、著作権法全般や著作権行政についての意見・要望も出された。

 「利用者アンケートなどで、利用者との調整を積極的に議論すべき」「契約法と著作権法のすりあわせを進めるべき」(世田谷文化生活情報センター館長 永井多恵子氏)、「著作者人格権について議論を進めることも必要ではないか」(京都大学教授 潮見佳男氏)、「技術的な規定については、政令にある程度委任することで技術や社会の情勢にあわせた、機敏な対応をすることができるのでは」(大渕氏)

 各委員から出た意見はいずれも著作権法に関する要望であるが、その内容は多岐に渡り、著作権法の根本になる部分に対しても再考が必要ではないかと述べる委員も見られた。弁護士・弁理士/青山学院大学教授の松田政行氏は、意見・要望が多岐に渡る状況だからこそ、慎重な議論が求められると主張する。

 「著作権法は昭和45年に制定された法律で、デジタル化や利用契約、利用と人権など、現代の社会にあわせた抜本的な見直しをしなければならない点があるのは確か。しかし、抜本的な見直しが必要な点と、そうではない点を見極めた上で考えて行かなくてはならない」

 また、一橋大学教授の村上政博氏は「諸外国に比べ、日本だけが優遇されているような状態は是正されるべきと考える」と何らかの見直しをするとしても、国際的なスタンダードから日本が孤立することを懸念する。

 審議に際しては(*)、各委員には関係各省庁ならびに一般から寄せられた著作権法改正に関する要望(パブリックコメント)が手渡されており、11月26日に予定されている次回の審議では、今回委員から提出された要望・意見と、寄せられた要望をすりあわせながらの討議が行われる予定となっている。

 *初出時に「審議後」と記載いたしましたが、資料は各委員へ審議開始時に配布されておりました。おわびし、訂正いたします。

 小委員会では12月の第5回審議を経て、来年1月には法制問題小委員会として「著作権法にかかる検討事項」を確定させる予定で、確定された検討事項は著作権分科会へ提出されたのち、ワーキングループなどで本格的な検討に着手される。

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