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エアコンの“常色”を変える〜三洋の「新・呼吸するエアコン」

» 2004年11月19日 19時13分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 エアコンを“白物家電”なんて呼ぶのはもう古い。三洋電機が2005年2月に発売する「四季彩館」(EXシリーズ)は、インテリアに合わせて7つの色から選択できるスマートなエアコンだ。しかも“着せ替え”可能。さらに、部屋の換気をする「呼吸するエアコン」の機能も進化した。

photo 898(幅)×300(高さ)×200(奥行き)ミリと薄型&スマートな「四季彩館」
photo シルバー(右)やシャンパンゴールドなんて派手な色も用意されているあたり、さすが関西メーカー

 「リフォームブームなど、インテリアに対する意識が高まりつつある。部屋のインテリアにとけ込むエアコンを目指し、徹底的にデザインに拘った」(同社)という「四季彩館」は、前面にフラットパネルを採用したスマートでシンプルなデザイン。パネル色は、シンプルモダンな部屋によく合う「レッド」「ブラック」「シルバー」と、ヴィンテージな雰囲気の「オレンジ」「ブラウン」「ゴールド」。そしてどちらにも合うニュートラルな「ホワイト」をくわえた。いずれも「朱」「紅」「茶」など日本の伝統色をモチーフにしたという。

 パネル部分は取り外し可能で、オプション商品として個々に販売する計画だ。つまり、シーズンや部屋のリフォームに合わせて“着せ替え”を楽しめる。「エアコンの“常色”を変えよう」(同社)。

photo インテリアのイメージ写真。赤は部屋のアクセントカラーとしてよく使われる
photo 光沢のあり、強い塗装を実現するため、パネル部にはABS樹脂を使い、UV塗装を行った。電化製品に使うプラスチック素材といえばABSだと思いがちだが、実はエアコンなどに使われる素材としては“高級品”なのだそうだ。へぇー

 また、前面をフラットにするため、運転時にはパネルをリフトアップする機構が組み込まれた。従来のエアコンは、部屋の空気を取り込むため、前面に格子状のルーバーが付いているのが当たり前だが、それがデザイン上の制限にもなっていた。

 そこで三洋電機は、運転を始めると前面パネルが2〜3センチ前にせりだし、上下左右にできる隙間から吸気する仕組みを採用。起動するとパネルが動き出す様子は、なかなかサイバーだろう。その代わり、上からも吸気する都合で天井ぎりぎりには設置できないという制限がつく。

photo 運転を始めると前面パネルが2〜3センチ前にせりだす

“呼吸”以上の換気効率

 一方、三洋独自の換気機能も大きく進化した。昨年登場した「呼吸するエアコン」は、空気中の二酸化炭素濃度を計測するCO2センサーを搭載し、部屋の空気が汚れると新鮮な外気を取り入れるエアコンとして知られている。今年はさらにガスセンサーをくわえ、「たとえばタバコの煙など急激な空気の変化にすばやく反応する」(同社)という。

 呼吸の仕方も変わった。昨年のモデルは吸気と換気を交互に行っていたが、「締め切ったお部屋の空気を快適に保つためには、空気の入れ換えを素早く効率的に行う必要がある」。そこで新モデルでは、空気の入り口と出口を別々に確保し、吸気と排気を同時に行う形にした。同社によると、「同時換気のほうが明らかに効率は良くなる。換気扇のように排気だけを行う場合に比べ、換気効率は約3倍だ」という。

photo 吸気と排気を同時に行う。人間の“呼吸”を考えると従来モデルのほうが近い気もするが、あえてツッコまなくていい

 室外機で取り込んだ外気は、触媒などが通るパイプを使って室内に持ち込まれる。エアコン本体に入ると、「虫除けガード」および「吸気フィルター」を通過し、小さな虫やホコリ、花粉などをキャッチ。さらに、その途中にある「UV・除菌ユニット」が紫外線殺菌を行い、雑菌やウィルスも除去した上で室内に送風する仕組みだ。

photo 左上にある黒い部分が「UV・除菌ユニット」

 「四季彩館」は、部屋の広さに応じて6畳タイプから20畳タイプまで計7モデルがあり、いずれも2月上旬に発売する予定だ。価格はオープンプライスだが、店頭では6畳タイプが16万円前後、10畳タイプは20万円前後、14畳タイプは24万円前後になる見込み。もちろん、同社のホームネットワークシステム「ELiFES」に対応するほか、室外機に装着できる「太陽電池モジュールシステム」もオプション設定する予定だ。

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