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椅子にもなるロボットLifeStyle Weekly Access Top10

» 2004年11月20日 02時06分 公開
[ITmedia]

 先週のトップは、8月に掲載した「おこし太郎」のレビュー。なぜ3カ月も前のネタがPVを集めたかといえば、販売台数100台突破のニュースが発端となって、Yahoo!から直接リンクされたため。掲載直後など、ほんの数時間で数万の人たちが“究極の目覚まし時計”を見にITmediaを訪れてくれた。

 よく考えてみると、目覚まし時計が100台売れてニュースになるというのも不思議なものだが、それ以上に一般のご家庭でアレが100台も動いているのかと思うと……ニヤリとしてしまう(失礼)。IT戦士以外にも、シビアな生活を送っている人たちは多いのだ。

 とはいえ、既に「おこし太郎」は何度も記事で取りあげているので、ここで披露するような付加情報も見あたらない。3位にランクインしたデンマーク産の“合体変形ロボ”に話題を移そう。

 最初に聞いたときは国産リアルタイムOSの亜流かと思った「ATRON」(たぶん、AdapTronicsに由来するネーミング)。開発チームを率いる南デンマーク大学のヘンリク・ハウトップ・ルンド教授は、「レゴ マインドストーム」の開発にも関わったという有名な研究者で、ITmediaにも何度か登場している。2002年の「RoboCup-2002福岡大会」では、小さなバイキングの「VIKI」チームを引き連れて登場。今年2月にはインタビューに応じて「I-BLOCK」を紹介してくれた。

 これらに一環しているのは、モジュールを組み立てて1つのシステムを構成するという考え方だが、「マインドストーム」「I-BLOCK」、そして「ATRON」を比べてみると、ルンド教授が“自然”を参考にしながら研究を進めていることがよく理解できる。しかも、その視点は徐々に深く、細かい部分に及んできた。

 1つのCPUが中央集権的に全体を管理・掌握するマインドストームが“人間と脳”の関係なら、各ブロックにCPUを搭載して連携動作するI-BLOCKは、体の各“器官”だ。そして今回のATRONは“細胞”。ロボット〜とくにヒューマノイドタイプは、人間の体の仕組みを参考にするといわれるが、細胞レベルにまでいくケースはなかなかお目にかかれない。

 モジュール化の目的は、「プロジェクトというものは分散システムにしたほうが良い場合が多い」という教授の言葉通り、まずは危機管理だろう。またモジュールで構成されるロボットは、環境に応じて体の構成を変えるという極めてインスタントな“進化”さえも手に入れることになり、いずれもロボットが目的を遂行するために有効な手段となる。さらに、ロボットとしての機能が求められないときは、椅子に姿を変えて役立つことだってできるのだ。

 「ロボットや電子機器は、所有者が望むように形状を変える可能性を秘めているわけです」。

photo ATRON椅子。モジュール一個が20万円だから……とにかく高級な椅子だ

 自然を参考にしながら、自然を超えるものを作ろうとしているルンド教授。これまでのものと違ってATRONはまだまだコンセプトの段階だが、将来が楽しみなロボットが一つ増えたことだけは間違いない。

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