コラム
2004/11/22 09:52 更新


テレビコマーシャル時代の終焉 (1/3)

DVDレコーダーでCMや見たくない場面をカットして録画することは、「著作権法違反」か? 民放連会長が定例記者で行ったとされるこの発言が、ネット上で物議をかもしている。だが、この「事件」は、従来の「放送」のビジネスモデル――従来型のTVCM――が終焉を迎えつつあることを示唆しているのではないだろうか?

 私事で恐縮だが、筆者は1週間のスケジュールの中で、毎週月曜日に掲載される本コラムの執筆を金曜日に割り当てている。テーマが決まっているときはいいのだが、そうじゃないときは金曜日が来るのが憂鬱になったりするものだ。

 だが今週は久しぶりに、コラムを書く金曜日がくるのが楽しみであった。以前から書きたいと思って暖めていたネタを披露するのに最高のお膳立てをしてくれた「事件」があったからだ。

CMカットは著作権法違反?

 朝日新聞社のニュースサイト、asahi.comに11月12日付で掲載された日本民間放送連盟(民放連)会長の発言記事は、ネット上で大きな議論を巻き起こしている。引用すると、

 “日枝久・日本民間放送連盟会長(フジテレビジョン会長)は12日の記者会見で、DVD録画再生機を使ってCMや見たくない場面を飛ばして番組を録画・再生することが、著作権法に違反する可能性もある」と述べた。電機メーカーなどに何らかの対応を求められないかを検討するため、民放連で研究部会を設けた。

 高性能のDVD録画再生機は、見たくない部分を自在に飛ばす「編集」ができ、CMカットも容易に出来る。日枝会長は「放送は1時間すべてが著作物と考える学者もいる。いろんな問題を含んでいる」と語った。”(2004/11/12 asahi.com 「ネット最前線」より一部引用)

 とある。実際に会長の発言部分は括弧内だけなので、前後は執筆記者の補足であろうと思われる。一方で民放連のオフィシャルサイトでは、若干ニュアンスの違った文章が掲載されている。これも公平に該当部分を引用しておくと、

 “民放連では、どういった問題があるかを営業委員会が中心となって研究している状況である。著作権の問題、今後の技術の進展など問題は多岐にわたると思う。放送局は権利者の許諾のもと、放映権を得て番組を放送している。さらにそれにはCMも含まれる、という考え方もあるだろう。そうした著作物を簡易に加工するような手段を講じて良いのかという議論もある。

 放送局は、放送番組の著作権と著作隣接権を有しており、放送されたものと、録画されたものが同一であることを求めたい。したがって、録画する際に、機械がCMを自動的に飛ばし、放送内容と変えてしまうことは、いかがなものかという意見もある。いずれにせよ委員会で検討し議論を深めたい。”(2004/11/12 社団法人 日本民間放送連盟オフィシャルサイト内、「民放連会長<定例記者会見>概要」より一部引用)

 民放連サイトに載っている内容そのままを記者会見で述べたとするならば、asahi.comの記事は短絡的すぎて結果的に世論をミスリードしてしまったと言えるだろうし、逆に記者発表会の模様がasahi.comで書かれたニュアンスのように強いものであったとするならば、民放連サイトの記事は態度が軟化したともいえる。ほかのニュースメディアでは取り上げられていない話なので、真相は藪の中だ。

 だがいずれにしても、“コマーシャルを飛ばしてしまうこと”を、民放連が問題視しているという事実は間違いないようだ。素直に「助けて! みんながコマーシャルを見てくれないとボクたち困っちゃう」とでも言えば、まあ方法を考えてやらんでもないのだが、その問題解決に著作権法を持ち出したところが、世の反感を買ったというところだろう。

番組とコマーシャルの仕組み

 番組とコマーシャルが一体化したもの全体が、一つの著作物であるという考え方は、視聴者にはなかなか受け入れられまい。

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[小寺信良,ITmedia]

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