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低価格DLP機の実力は?――HP初のホームプロジェクター「ep7100シリーズ」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(4/5 ページ)

» 2004年11月26日 14時26分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 なお、カラーブレーキングノイズに関しては見え方に個人差がある。本機は4倍速動作のカラーホイールになっており、DLPデータプロジェクターに比べるとカラーブレーキングは軽減されている。しかし、ほとんどカラーブレーキングを感じなくなる5倍速とは異なり、4倍速は場面によって見えるケースもある。必要以上に大画面に投影すると、字幕を読む時の視線移動が多くなりカラーブレーキングノイズが見えやすくなるので注意したい。

 カラーブレーキングに関しては、とにかく同等の4倍速6セグメントホイールの機種を近くの店で探し、確認してみるほかない。ハッキリとノイズが見えなくとも、長時間の視聴では疲れてしまう、といったこともあるからだ。

16:9画像を垂直方向にシフトさせながら設置可能

 本機は最近のホームシアター向けプロジェクターとしては珍しく、アスペクト比4:3のパネルを採用している。このため、ハイビジョン放送やDVDソフトの多くは上下のエリアが利用されない。またレンズシフトがなく、斜め投影する場合は画質がやや犠牲となるデジタルキーストーン補正を行わなければならない。しかし、上記の16:9モードで利用されないエリアを利用し、表示位置を上下に移動させることで表示位置をシフトさせる機能を搭載、設置性を高めている。

photo 上面部

 上下方向の台形補正は、僅かな補正ならば画質低下はさほど大きくないため、上下方向の解像度をすべて利用しない前提ならば、設置にはある程度の自由度がある。ただ、本機の場合、Webページおよびマニュアル内で投射迎角の情報が記載されておらず、天吊り設置などで正対位置から投射できるよう設置計画を正確に練ることが難しい。現状では、キーストーン補正を前提にした設置方法しか記載されていない。早急に投射距離ごとの上下位置関係について情報を整理、公開するように求めたい。なお、左右方向のキーストーン補正は行えないため、基本的にレンズセンターがスクリーンの中心と揃うように配置する必要がある。

 加えて焦点距離がやや長く、ズーム比が1.16倍とやや物足りない点も設置する際には問題となりやすい。たとえば100インチの場合、最短でも3.7メートルの投影距離が必要で、最長でも4.3メートル。固定サイズの黒マスクがあるスクリーンへの投射では、配置計画に苦労しそうだ。本機ではマスクなしのスクリーンに自由なサイズで投射する手軽な視聴スタイルの方が合うだろう。

 なお未使用ピクセルを利用した上下のシフトだが、4:3映像は上下ピクセルを含むフル解像度で表示される。16:9イメージの中心に4:3映像を映すには画調モードをテレビに切り替えておく必要がある。16:9スクリーンを使う予定、あるいは既に所有している場合は憶えておいた方がいいだろう。リモコン側にアスペクト比切り替えボタンがないなど、このあたりのモニタとしての使い勝手は今ひとつだ。

 また本機はオーバースキャンを全くせず、オプション設定でもオーバースキャンにすることができない。このため、信号の中に含まれているピクセルをまるまる表示するものの、映像ソースによっては上下が切れてしまう場合があるなど、家庭用ビデオモニタとして使いにくい面も見受けられた。

photo 背面部

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