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レコード業界が持ち出した“Kazaa有罪の証拠”

» 2004年11月30日 12時12分 公開
[IDG Japan]
IDG

 Sharman NetworksがKazaaにフィルタリングをかけて著作権侵害を防ぐことは可能だったが、同社はそうする代わりに、広告収入を得るため大規模なユーザー基盤を構築することを選んだ。オーストラリアの連邦裁判所で行われたSharmanに対する訴訟で、初日にこのような申し立てが行われた。

 11月29日午前の審理は、レコードレーベル側弁護士トニー・バノン氏による申し立てに終始した。同氏は、SharmanはKazaaユーザーによる著作権付き素材のダウンロードを防止する技術を持っていたが、そうした手段がビジネスに影響することを知っていたと主張した。

 Sharmanは以前から、自社のP2Pネットワークをフィルタリングするのは不可能であり、Kazaaユーザーによる著作権侵害を阻止する力はないと主張していた。だがバノン氏は、Sharmanのパートナー企業が2002年に作成したKazaaソフトの改善提案書を、Sharmanが著作権侵害行為を制御できたことを示す証拠として持ち出した。

 この文書には、Altnetのアンソニー・ローズ氏およびBlue Moon Interactiveのプリート・カセサル氏(SharmanのためにFastTrack/KazaaLibを開発した人物)との議論が記されている。議論の内容は、有料ダウンロードを提供するAltnetに、Kazaaでのダウンロードの統計データを報告することに関するものだ。

 この文書では、どのユーザーがゴールド(有料)ファイルをダウンロードしたかを示すために、統計データのレポートモジュールを開発することを提案している。ただしカセサル氏は、このモジュールは違法なダウンロードを追跡することも可能であり、Sharmanが法的責任を負わされることになると警告した。

 バノン氏によれば、この文書はSharmanの真の意図を示しているという。

 「(Kazaaのフィルタリングは)可能だったが、それは被告が望むことではなかった」(同氏)

 Sharmanは特定の言葉やファイルが検索結果に含まれないようにするウイルスフィルターとファミリーフィルターをKazaa向けに開発したが、これを著作権保有者を守るために利用しなかったとバノン氏は指摘。同社がフィルターに著作権保有者の名前を入力して、その作品がKazaaに表示されないようにすることは可能だったと主張した。

 「Sharmanはエミネムやパウダーフィンガーを(フィルターに)入力することができた」と同氏。

 Kazaaのウイルスフィルターはすべての「.exe」「.dll」ファイルをブロックし、ユーザーをウイルスから守るが、一部の合法ソフトがダウンロードできなくなると同氏は説明する。

 だがこのフィルターは、違法コピーに最も使われている.mp3ファイルをブロックしないという。

 「Sharmanは、MP3を遮断すれば、一部の合法コンテンツがブロックされるかもしれないと言っている。だが彼らは、合法ソフトがダウンロードできなくなるという理由でウイルスフィルターの導入をやめたりはしなかった」(同氏)

 審理は翌30日も行われる。

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