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パイオニア、トウモロコシからBDメディアを製造する新技術エコプロダクツ2004

» 2004年12月09日 15時46分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 日本ビクターがトウモロコシのでんぷんから合成したプラスチック「ポリ乳酸」を使用するDVDディスクの開発に成功したが、東京・ビックサイトで行われている「エコプロダクツ2004」では、パイオニアもトウモロコシから製造したBlu-ray Disc(BD)メディアの展示を行っている。

photo トウモロコシを原料としたBlu-rayメディアの基板(中央)と、BDメディア

 展示されているのは、これまでポリカーボネートを利用していた「Blu-rayメディアの基板層」の一部を、トウモロコシから取れる「でんぷん樹脂」に変更したもの。

 同じトウモロコシを原料としながらも、ビクターが素材として採用した「ポリ乳酸」に比べて素材コストを低く抑えることに成功したほか、ポリ乳酸と違って、でんぷんをそのまま樹脂化して利用するため、トータルでのエネルギー効率に優れているという。

photo 新素材を利用することで、BDメディアのうち87%を植物由来の素材に変更することに成功した

 同社の開発したでんぷん樹脂基板は薄い茶色で、その色合いには、わずかにトウモロコシの面影が残っている。この基板上に直接記録層を形成することはできず、Blu-rayメディアに利用する際には、この基板の上にアクリル樹脂を乗せ、その上に記録層を成形するという工程を経る。

photo トウモロコシを連想させる?薄い茶色

 この工程が発生するため、素材自体のコストはすでにポリカーボネート以下にすることが可能であるものの、BDメディアとして製品化する際には「現在のBDメディアと同程度の価格になる見込み」だという。

 また、素材自体が透明ではないため、CDやDVD、HD DVDにそのまま利用することはできないが、「DVDであればレーベル面の基板など、記録が行われない部分になら利用することが可能」(同社)だという。

 この技術はまだ学会発表を行ったばかりの段階で、記録メディアとしての実用化を目指すにあたっては耐熱性や形状変化に対する耐久性など、細かな点を煮詰める必要がある。しかし、食品として利用されないトウモロコシの芯をも原料として使える可能性もあることから、同社では今後、他方面への応用を検討していく予定だ。

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