ITmedia NEWS >

Yahoo!、MSもデスクトップ検索β版を続々立ち上げ

» 2004年12月13日 12時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 インターネット検索を先導するGoogleが、デスクトップマシンに保管した情報を検索できるツールのテスト版を提供開始して2カ月――後を追うMicrosoft、Yahoo!、Ask Jeevesの各社も、デスクトップ検索市場に乗り出す準備を整えた。

 Yahoo!は9日遅く、「Yahoo! Desktop Search」ツールのβ版を数週間以内にリリースする計画を明らかにした(12月10日の記事参照)。一方Ask Jeevesは15日に自社版デスクトップ検索ツールのテスト版をリリースする予定で、Microsoftもβ版を今週リリースすると同社の計画に詳しい情報筋は話している。

 デスクトップ検索ツールの主なメリットの1つは、現在Windowsで提供されている検索機能よりもはるかに迅速かつ綿密な検索が可能な点だ。

 Yahoo!によれば、無料で提供されるYahoo! Desktop Searchツールは、初めは電子メールと添付ファイル、写真や音楽などの特殊なファイルタイプに重点を置いた検索を行う。将来的には検索範囲を拡大して、ユーザーが各種のYahoo!オンラインサービスを検索できるようにする計画だという。

 また独自技術を採用したGoogleとは異なり、今回Yahoo!はサードパーティである米X1 Technologiesの技術を採用した。X1は数年前から企業ユーザー向けにデスクトップ検索ツールを販売しており、今年3月にバージョン3.0を立ち上げた。価格は1ユーザー当たり74.95ドル。

 「すべての選択肢を検討した結果、当社ユーザーに最良のデスクトップ検索ソリューションを提供できるのはX1のアプリケーションであるとの確信に至った」とYahoo!の広報担当は語った。両社が結んだ提携の条件は明らかにされていない。

 X1のジョシュ・ジェイコブズ社長は、Microsoftが(Windowsに)空けた空白を埋めようと、主要インターネット検索企業が続々とデスクトップ検索分野に進出してきていると言う。「現在コアOSのWindowsで提供されているツールは、デスクトトップ上にあるすべての情報を発見・管理するに十分とは言えない」と同氏。

 一方、Ask Jeevesのジム・ランゾーン検索担当上級副社長は、15日にデスクトップ検索ツールのβ版を立ち上げる計画だと話している。このツールはAsk Jeeves のパーソナル検索サービス「MyJeeves」の主要コンポーネントとして位置付けられる。

 現在、MyJeevesではユーザーがWeb情報に関するクエリーと検索結果を保存することが可能だが、新たなデスクトップ検索ツールの導入によって今後検索範囲がユーザーのPCに保管されている文書にも広がると、ランゾーン氏は説明した。

 「MyJeevesは将来的に、Webページ、写真、音楽ファイルなどユーザーのすべての個人ファイルを保管する場所になると考えている。そうなれば、MyJeevesは職場、家族、あるいは趣味仲間たちと情報を共有するためのプラットフォームになる。これこそ当社が目指すところだ」(同氏)。

 今回リリースされるAsk Jeevesのデスクトップツールβ版はMyJeevesと部分的に統合されているが、ランゾーン氏によれば、統合レベルは将来的に深まっていくという。なおAsk Jeevesはこのツールに関する詳細を今週中に明らかにすると同氏は語った。

 さらにランゾーン氏は、デスクトップ検索ツール完成版のリリースは2005年中になる見通しだとし、Ask Jeevesではデスクトップ検索企業の間で展開されている競争を「短距離というよりもマラソン」と捉えていると言い添えた。

 Microsoftは今年7月に自社のデスクトップ検索ツールを初披露、β版を年末までにリリースする計画だと宣言した。7月にはデスクトップ検索ツールを手がけるLookout Softwareを買収した(7月17日の記事参照)

 Ask Jeevesも今年6月に買収したTukarooを通じてデスクトップ検索技術を取得している(6月10日の記事参照)。Lycosは今年初めに「HotBot Desktop」ツールをリリースしている。

 デスクトップ検索に向けた関心の高まりは驚くに値しないと、業界アナリストらは口を揃える。今年8月にIDG News ServiceがYahoo!のデスクトップ検索計画に関する第一報を報じた際、ニューヨークを拠点とする独立系アナリスト、マシュー・バーク氏は、Web検索企業がデスクトップに進出したがる理由として、ユーザーのコンピュータ上に場所を確保することができ、またそれを通じて広告掲載のチャンスが増えるからだと説明した。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.