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欧州の対MS制裁執行に業界からは疑問の声

» 2004年12月23日 08時25分 公開
[IDG Japan]
IDG

 「Microsoftは欧州委員会から命じられた是正措置に従わなくてはならない」との判断が欧州の裁判所で言い渡されたが、IT業界の観測筋や法律専門家は12月22日、この重要性について懐疑的な見方を示した。

 欧州委員会によれば、Microsoftは既に、Windows Media PlayerをバンドルしないバージョンのWindowsを用意している。バンドル解除の是正措置によって、Apple ComputerやRealNetworksなどのメディア再生ソフトベンダーが自社の技術をMicrosoft製品の代わりにインストールするよう、コンピュータメーカーに働きかけやすくなると欧州委員会は期待する。しかし、アナリスト、Microsoftとも、今回の判断が競合相手にもたらすメリットについては懐疑的だ。

 バンドル解除の制裁はMicrosoftにとって些細な問題でしかないと指摘するのはロンドンにあるOvumのリサーチディレクター、フィリップ・カーネリー氏。Windows Media形式のファイルが既に普及しているため、ユーザーはMicrosoftの再生ソフトをインストールするしか選択肢がないという。

 欧州の競争問題を専門とするLawrence Grahamの弁護士、アンソニー・ウーリッチ氏は、今後もメディア再生ソフトをバンドルしたバージョンのWindows人気が衰えることはないとの見方だ。「これに関する判断を記した部分の文言から判断すると、MicrosoftがMedia PlayerをバンドルしたWindowsを、バンドルしないWindowsと同じ価格で供給することを禁じてはいない。つまり、市場には競争の余地はほとんどないということだ。ただでもらえるものを拒む理由があるだろうか」と同氏。

 一方Microsoftは、欧州の競合相手にとっても消費者にとっても今回の是正措置のメリットはほとんどないと主張。バンドル解除命令はWindowsのグレードダウンを強要するもので、30年にわたってIT業界の原動力となってきた技術インテグレーションが台無しになり、競争が阻害されると批判している。

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