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BenQ国内初のホーム向け――15万円のDLPプロジェクター「PE5120」レビュー:劇場がある暮らし――Theater Style(1/3 ページ)

» 2004年12月24日 14時16分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 台湾・BenQといえば、PCユーザーには液晶ディスプレイブランドとして広く知られる存在となっている。単純に安いというだけでなく、広視野角・高解像度の大型ディスプレイもラインナップに並べるなど豊富なラインナップが魅力だ。

 そのBenQが最近力を入れていたのがTexas InstrumentsのDMD素子を用いたDLPデータプロジェクター。そして12月1日、日本市場には初投入となるホームシネマ用プロジェクター「PE5120」を発売した。

photo ホームシネマ用プロジェクター「PE5120」

 実はBenQは台湾はもちろん、北米市場向けにホームシネマ用のプロジェクターを以前から提供しており、今回の製品が初のホームシネマ用プロジェクターというわけではない。型番の先頭2文字が“PE”の製品が家庭向け、“PB”がビジネス向けである。720p解像度のHD2採用プロジェクターも日本以外の市場には提供しており、低価格の高解像映像対応DLPとして好評を博しているようだ。

 しかし日本市場向け第1弾として投入されたPE5120は、HD2系のDMD素子を用いたハイエンドの単板DLPではなく、ワイドVGA(854×480ピクセル)のDMDを採用した低価格機である。入力信号としては1080iのハイビジョン映像も受け付けるが、854×480ピクセルまで縮小されるため解像感はSD映像とさほど変わらない。基本的にはDVDを見るためのプロジェクターと割り切るべきだ。

 とはいえ、予想実売価格で14万8000円というプライスタグは、ホームシネマ用DLP機としては破格の安さである。早速、その使い勝手や機能、画質を見ていくことにしよう。

イエローを含む5セグメントカラーホイールが特徴

 本機の特徴は単板DLP機で必要不可欠なカラーホイールに、RGBの基本三原色にホワイトとイエローを加えた5セグメントタイプが使われていることだ。ベンキュージャパンは「イエローセグメントを採用した最初の機種」としているが、データ用としては他にも採用製品があり、全く初めての技術というわけではない。

 イエローセグメントの追加は、黄色の表現力を上げるだけでなく、パステルカラーなど淡い色彩の色表現において有利とされている。またホワイトセグメントもあるため、200ワットのUHPランプに対して1100ルーメンと、ホームシネマ用DLPとしてはかなり明るくなっている。

 元々は小型のデータ用プロジェクターとして設計された筐体のようで、製品にはキャリングケースも付属。写真から想像するよりも本体はかなりコンパクト。200ワットランプと小型筐体の組み合わせとなると心配なのは冷却ファンノイズだが、本体後部に2つのファンを設置し、それぞれを低回転で回すことで騒音レベルを抑え込んでいる。通常時で29デシベル、エコノミーモード時は26デシベルと透過型液晶プロジェクター並の静かさだ。

photo 本体後部には2つのファン吹き出し口がある

 レンズは100インチ投影時のスペックがマニュアルに記載されていなかったが、3メートルで60〜70インチ程度のようだ。ズーム比は1.22倍でシフト機能はなく、他の低価格DLP機と同様に設置性の面ではやや難がある。特に短距離で大画面を、というユーザーには、やや物足りない。

 また筐体からの光漏れもかなり盛大で、全黒画面を表示させると投影方向に相当の光が漏れ、明るく照らしていることがわかる。本機のスペック上のコントラスト比は2000:1で、そこそこのコントラスト感があるものの、ホームシネマ用DLP機で比較するとさほどコントラストは高い方ではない。漏れ光の影響が強くコントラストを下げているのだろう。

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