付加機能についてもチェックしていこう。まずはFMラジオ機能について。機能的にはシンプルで、先送りや巻き戻しボタンを長押しすることで自動的にチューニングできる。基本的な操作はほぼこれだけといってよい。
放送の録音も可能で、録音開始は「○」ボタンを長押すだけ。もう1回「○」ボタンを押せば、録音が終了する。録音時のファイル形式はMP3で、ビットレートも3段階(32/64/128kbps)に調節できる。録音してみたところ、64kbpsでも十分な音質であると感じた。アンテナの感度も良好。筆者の住む中層マンションの室内でも十分クリアな音質で楽しめたし、ちょっと開けた公園や道路上であれば、問題なく受信できる。都内であればまず大丈夫だろう。
ボイスレコーディングのビットレートも32/64/128kbpsの3段階に調節できる。さすがに32kbpsでは音がくぐもってしまってしまうが、64kbps以上であれば十分に声が判別できる。録音されたMP3ファイルはH10のHDD上に記録されるので、PCと接続すれば簡単に取り出すことが可能だ。もちろん、PC上での再生に特殊なソフトは必要ない。
JPEG画像の表示クオリティについては、それなりといったところ。液晶サイズが小さいために、だいたいのイメージが掴める程度、と考えた方がよい。正直なことを言うと、最新の携帯電話よりも画質は低い。ただし表示スピードは非常に高速で、500万画素、最高画質で撮影した1枚3Mバイト程度の画像も一瞬で表示してくれる。
テキスト表示機能については、フォントが大きく、画面も明るいので、意外なほど見やすい。画面サイズや解像度はまったく異なるが、Palmのテキストビューワのような感覚でスイスイチェックできる。レジューム表示機能もサポートしているので、聴いてる音楽を変えつつ、テキストのチェックを続けるということも可能だ。
音楽プレイヤーとしての完成度を問われると、正直ツメが甘いと言わざるを得ない。ライブラリソフトの検索性や本体の再生順など、使いにくさを感じる場面も多い。シャッフル再生だけを楽しむなら問題ないだろうが、楽曲を系統立てて管理し、アルバム単位で整理して聞く、という用途には向かない。
ただ、マルチプレイヤーとしてのギミックは、十分におもしろいと感じた。シリコンメモリプレイヤーとは違い、5Gバイトもの容量を確保しているので、長時間のボイスメモやFMラジオの生録が楽しめる。容量が小さいせいで、ファイルの記録・消去を繰り返さなければならないシリコンメモリタイプにはない利点だ。
そう考えると、本機はHDDオーディプレイヤーと言うよりも、「5Gバイトの容量を得たシリコンメモリプレイヤー」ととらえた方がしっくりくる。本製品にみられる音楽ファイルの管理・転送方法、特にプレイリストの作成を前提としているように考えられる曲順管理の方法は、本体で管理する楽曲数が少ないシリコンメモリプレイヤーだとすれば納得できる仕様ではある。
HDD搭載のオーディオプレイヤーとして考えると、いろいろと難点はある。しかし、ユーザーの運用スタイル次第で大きく化ける可能性は十分もある。ファームウェアアップデートも積極的に行われているようなので、今後のブラッシュアップを期待したい。
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