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走り出す「インタラクティブタクシー」

» 2005年02月07日 10時15分 公開
[IDG Japan]
IDG

 間もなく、米国の一部主要都市でのタクシー利用がよりインラタクティブなものになる。ニューヨークの広告会社Targeted Media Partnersはこれから2〜3カ月の間に、米国中のタクシー数百台にワイヤレスマルチメディアシステムを搭載する計画だ。

 Targeted Media Partnersの子会社Interactive Taxiは、ボストン、シカゴ、サンフランシスコのタクシー600台以上の後部座席にインタラクティブデバイスを取り付けると、同社のコーリー・ゴットリーブCEO(最高経営責任者)が明らかにした。

 このデバイスは、タッチスクリーンで操作するマルチメディアコンピュータで、ワイヤレスネットワークで結ばれている。

 インタラクティブタクシーは数年前から米国で登場しているが、技術的な制約があるため普及に歯止めがかかっていたと、ゴットリーブ氏。「(タクシーの)トランクに40GバイトのHDDを積んでいたがあまりに大きくて衝撃に弱かった。アップグレードや更新も、ワイヤレスシステムなしでは複雑だった」と同氏。

 現在、デバイス一式は運転手と後部座席の間の仕切りに設置され、乗客にニュース、映画の予告編、レストランの案内などを提供している。タッチスクリーンはWindows Embedded XPベースの2Gバイトフラッシュドライブに接続され、ここで5分毎に中央データベースからワイヤレス送信されるアップデート情報を受信する。

 ゴットリーブ氏によれば、Interactive Taxiは今年、ボストン、シカゴ、サンフランシスコのタクシー600台以上にインタラクティブメディアデバイスを搭載する計画だという。同社はタクシー内にデバイスを設置するスペースをレンタルし、ビデオなどのマルチメディア内に表示される広告スペースを販売している。

 しかし、広告だけがマルチメディアデバイスをタクシーに取り付ける唯一の動機ではない。(ニューヨーク市のタクシー業務を管轄する)New York Taxi and Limousine Commission(TLC)による新しい規制により、今秋までにニューヨークで新たに1万2000台のタクシーに同じようなインタラクティブデバイスが搭載されることになる。「今年11月から、営業許可を取っているタクシーは位置情報技術と乗客用インタクティブ情報モニターの設置を義務付けられる」とTLCの広報責任者アラン・フロムバーグ氏は説明する。

 TLCはインタラクティブデバイスによってニューヨークを走るタクシーの居場所を把握できるので運転手の安全が強化されるとともに、乗客の忘れ物を見つけ易くなる。TLCには毎月1000件以上の忘れ物の連絡があり、数千台の中から乗客が乗ったタクシーを見つけ出すのは干草の山の中から針を探すようなものだとフロムバーグ氏は話している。

 さて、タクシーの運転手はこうしたハイテクガジェットの搭載をどう思っているのだろう?

 Boston Cabに2年間務めているテッド・ロス氏は「なかなかいい。乗客との会話も弾むし、(スクリーンの)レストラン情報を見て興味のあるものについては『行ったことがあるか』と聞いてくれたりする」と話す。

 「それに深夜は、酔っ払いがスクリーンに見入ってくれるので、からまれずに済む」(同氏)

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