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LED照明の“明るい”未来LifeStyle Weekly Access Top10

» 2005年03月04日 21時53分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 今週のトップは、「ライティング・フェア 2005」のレポートだった。テーマになったLEDは、数々の優れた特性を持ちながら、まだまだ成長の途中。メーカー担当者の話を聞いていると、さまざまな苦労を重ねながらここまで来た自信と、“もっと明るくしないと”という思いの間で、ジレンマを感じているような気がしてならない。

 考えてみると、LED照明は可哀想な扱いを受けている。たとえば、小さな光源なら「熱を出さない」といえるのに、技術的に「発熱が問題」といわれてしまうのは、どうしても効率面で蛍光灯が比較対象になるからだ。「もっと明るくないと……」といわれるときは、白熱灯と比べられてしまう。なにやら「できのいい兄貴たちと比較されて悩む、成長途中の弟」といった印象だ。

 とくに下の兄貴(蛍光灯)は良くできた奴で、極めて効率が良い光源とされている。消費電力は白熱灯の3分の1、寿命は6倍。同じ消費電力(ワット数)で比較すると、白熱灯より蛍光灯のほうが4-5倍明るい。また、昔は蛍光灯の青白い光に“冷たく、硬い”印象を受けたものだが、近年になって暖かみのある電球色(暖色電球型)も登場し、スリムタイプやボールタイプなど形のバリエーションも増えた。手間がかからず、省エネで明るい蛍光灯は、すっかり学校の人気者……いや“明かり”の代表格だ。

photo どうでもいい挿絵を入れてみた

 ただし、白熱灯は発熱と寿命という構造的な問題を抱えている。蛍光灯も、その発光原理上、今以上の効率アップが難しいとされており、また1本あたり十数ミリグラムの水銀(放電を持続させるために必要)を含むなど環境への影響を懸念する声もある。次世代の照明機器に対する期待の高さも頷けるだろう。

演出効果とLED

 もう少し身近なところで使用環境を考えてみると、照度のムラが少ない蛍光灯は、部屋の中を均一に照らし出すため、“演出効果”という点でイマイチだ。仕事場や日常生活の場なら問題ないが、リラックスしたい場所――たとえば、ライフスタイル読者も関心の高いホームシアターなどには正直適さない。生活の場と共用している“リビングシアター”などでは、蛍光灯をつけた途端、「ものすごい生活感」に襲われるからだ。

 わが家のリビングシアター(というか、ワンルーム)の場合、室内灯の一つをレフ電球のコンビネーションランプに変え、生活時間帯と映画鑑賞時で照明を切り換えて使用している。問題は、やはりレフランプの寿命。頻繁に切れるうえ、1つ数百円もして運用コストは馬鹿にならないから、これをLED照明に変更できたら、さぞ快適だろうと思う。

 実際、このような限定的な用途であれば、LED照明の技術は十分に実用的なレベルにあり、商品としても登場し始めている。「ライティング・フェア 2005」の会場でもいくつか見てきたところ、電球のような「暖かみのある色ムラ」には欠けるものの、インテリア性は高く、またRGBを活かした調光機能も楽しそうだった。

 シアター用途に限ってみれば、残された課題は商品価格だけだ。レポートでも写真と価格を掲載したが、やはり従来の照明器具と比較して“若干”高めの値段設定になっている。多少暗くてもいいから、手頃な価格で、お洒落なLED照明器具を提供してくれたなら……もっと活躍の場を与えられると思うのだ。

 成長途中の弟がぐれてしまう前に。是非。

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