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進化し続ける電子辞書――この春、“ベストな1台”を選ぶには?(1/2 ページ)

» 2005年03月10日 16時37分 公開
[ITmedia]

 新入学・就職などのシーズンを控え、新製品が相次いで登場している電子辞書。コンテンツだけに目をやっても、広辞苑+英和・和英という組み合わせの収録はもとより、話し言葉に重点を置いた英語コンテンツを搭載するモデルやビジネスキーワードを豊富に収録したモデル、高校生の学習内容にあわせたコンテンツを搭載するモデルなど、さまざまな製品が登場している。

 ハードウェアに注目しても、単語や例文の発音機能を備えたものが多く登場しているほか、カラー液晶を備えたモデル、キーボードからの快適な入力にこだわったモデルや世界最小・最軽量をうたうモデルまでもがあり、“ベストな1台”を選ぶにはなかなか骨が折れる。

 電子辞書はもはや店頭においてはPDA売り場を押しのけるほどの人気を見せており、関心のある向きも多いのではないだろうか。昨年末には目的を海外旅行だけに絞った製品選び(電子辞書を持って海外旅行へ行こう ハードウェアから“海外旅行用辞書”を考える コンテンツから“海外旅行で使い勝手のいい辞書”を考える)を紹介したが、今回はより範囲を広げて、「この春、電子辞書を買う時にチェックするべきポイント」を考えてみたい。

まずは欲しい辞書を見極める

 「電子辞書をお勧めする際にまず確認しておきたいのは、現在、仕事あるいは授業などで紙の辞書を使っているかいないかです。これによって選んで頂く際の優先順位が変わってきます」

 “この春ベストな1台”を選ぶ際のポイントについてこう指南するのは、カシオ計算機 開発本部 事業企画部 企画一課の堀清司氏だ。同社は業界トップクラスとなる30モデル以上という多彩な電子辞書をラインナップしており、ユーザーのさまざまな辞書選びのデマンドに対応している。

photo カシオ計算機 開発本部 事業企画部の堀清司氏

 同社のモデルを例にコンテンツ(辞書)の系統別にモデルを分類してみても、多種多彩なコンテンツを収録した「万能タイプ」、翻訳から専門学習まで幅広い英語についてのニーズに応える「英語専門タイプ」、学生の日々の学習や受験勉強に対応した「学習タイプ」、ドイツ語やフランス語、中国語など英語以外の諸外国語コンテンツを収録した「外国語タイプ」と分類可能だ。まずは自分がどのようなシーンで電子辞書を利用するかを想定すれば、最初の1台として選ぶべきモデルを絞り込めるはずだ。

 「電子辞書とはいってもベースとなるのは紙の辞書ですから、自分の使っている辞書と同じもの、あるいは似たタイプのものが多く収録されている製品を選んで頂ければいいと思います」(堀氏)

 堀氏のいうように、自分が現在日常的に利用している辞書(英和辞典や国語辞典など)があるならば、その辞書を収録しているモデルを選ぶことが第一の選択基準となるだろう。紙の辞書を日常的に使用していない場合でも、どのようなシーンで辞書を引く必要性を感じるか、そのシーンを思い浮かべれば、どのようなタイプの製品を選べばいいか想像できるはずだ。

多コンテンツが当たり前の時代、次の選択基準は?

 欲しい辞書は分かっている、あるいは、どのようなタイプの辞書が欲しいかイメージできたとしても、現在各社から発売されている電子辞書にはそれこそ70、80という種類の辞書を搭載したものもラインナップされており、広辞苑やジーニアス英和/和英というような多くの人に利用されている“定番”辞書を搭載した製品はそれこそ無数に存在する。

 搭載されている辞書やタイプで絞り込んだとしても、「A社製のアレとコレ、B社製のアレとコレとソレ、C社製のアレとコレ」と候補が残ってしまうのが現状なのだ。各社もこの状況は理解しており、昨年秋から今春にかけて投入されているモデルには辞書の数・種類だけではない差別化をもたらすポイントが盛り込まれている。

 収録されたコンテンツを音声でも確認できるモデルを始め、コンテンツの追加に対応したモデルや持ち運ぶ機器ということで堅牢性を高めたモデル、液晶画面の見やすさを追求したモデルなどが登場しており、収録コンテンツ以外での差別化をアピールしている。カシオの新製品群を例に、こうした差別化のポイントがどのようなメリットを持つか、確認してみよう。

photo カシオの新製品「エクスワード XD-WP6800」。バックライトがついた5.7インチという大型の液晶を搭載する

聞けるのは当たり前? これからはよりクリアな音声

 外国語、特に英語以外を学習する際にイメージしにくいのが発音だろう。各社とも、紙の辞書では実現できない、電子辞書ならではの特徴として音声機能を搭載する製品を複数ラインナップしている。

 「音声機能自体は以前の製品から搭載しており、ネイティブの発音をMP3で収録していました。ただ、MP3は元来PC向けということもあり、電子辞書というハードウェア上で扱うには必ずしも効率的とはいえない側面があったのです。そこで新製品にはカシオが独自開発したTRUE VOICEという新方式を採用し、よりクリアな発音を実現しました」(堀氏)

 TURE VOICEは肉声を効率的に圧縮できるため、これまで入りきらなかった高音域までを収録することが可能になり、摩擦音などの子音まで忠実に再生できる。また、音声があらかじめ搭載されていないコンテンツについても、英語のみだがTTS(Text To Speech)機能によってすべての単語・例文の発音を確認することができる。

photo 従来機(MP3)と新製品(TRUE VOICE)の再生音域の違い。TRUE VOICEの方が再生帯域が広く、より肉声に近い再生が可能になる

 「音声機能を搭載したモデルは多数登場していますが、ネイティブスピーカーの発音にこだわる人はぜひ店頭で実際にチェックしてみて欲しいですね。できるならば、イヤフォンで聞くのがベストだと思います」(堀氏)

毎日手軽に使うため、求められるタフネスさ

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