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欧州のテレビ/プロジェクター事情劇場がある暮らし――Theater Style【CeBIT特別編】(1/3 ページ)

» 2005年03月12日 23時59分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 毎週末、ホームシアター関連の記事を掲載してきた連載「シアタースタイル」だが、今回はCeBIT会場からの特別編という事で、欧州のテレビ/プロジェクター事情について、各メーカーの現地スタッフに話を聞いてみた。そこからは、日本や米国との微妙なニーズの違いも見えてくる。

一見、似ている日本と欧州のテレビ市場

 1月に開催されたCESでの例を見るまでもなく、日本と米国の市場傾向は比較的ハッキリとした違いがある。“薄型指向バランス型”の日本と、“大きさ以外は妥協できる”米国といったところか。ソニー「QUALIA 004」のように、画質面でも目を見張るような製品が登場したことで、“リアプロは画面サイズ優先の妥協製品”とは言えなくなってきたものの、購買者の一般的な傾向には変化がないようだ。

 では欧州ではどうか? しかし、その質問は難しいという。

 島国の日本や、北米大陸のほとんどを占める米国とは異なり、欧州は様々な国が集まる寄り合い所帯だ。よく“欧米は〜”といった言い回しが使われるが、大抵の場合、欧と米とでは全く事情が異なるのに一緒に評価する事が多い。同様に“欧州は〜”といった言い回しを日米のプレスが使う事が多い割には、現地の人間は各国ごとの違いが大きく一言では語れない部分が多い。

 一般的には、日本と欧州のテレビ市場は似ており、ひたすらにサイズの大きな画面を求めるのではなく、薄さやデザインなど画面サイズ以外の要素が購買行動に大きく影響しているという。このため、日本と同じようにプラズマディスプレイや液晶パネルを用いた薄型テレビへの注目度がとても高い。前述のQUALIA 004に関しても、かなり明るい場所に展示するなど、欧州のソニー自身が使いこなしていない。

 また欧州では一般に、新しい製品の普及・浸透速度がゆったりとしている。日米では家庭にすっかり浸透しているDVDプレーヤでさえ、普及ペースが加速したのはこの1〜2年、プレーヤ単価が極端に下がってからの事だった。日米ではプレーヤ価格が500ドルを切った頃に普及カーブの上昇が急になり始めたのとは対照的だ。

 CeBITの展示会場を歩いてみても、CESのようなリアプロTVのオンバレードではなく、薄型テレビが中心の展示。しかも、サイズの大きな製品をブースの象徴として配置して目を引きつつ、実際の商売は日本と変わらない32インチ前後が中心。そのせいか、プラズマディスプレイよりも液晶パネルを使ったテレビの方が目立っていたように思う。

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