ITmedia NEWS > 速報 >

iTunesのDRM技術を破る新アプリ「PyMusique」公開

» 2005年03月19日 08時15分 公開
[IDG Japan]
IDG

 「iTunes Music Storeの公正なインタフェース」と開発者が称するPyMusiqueは、ユーザーがApple ComputerのiTunes Music Storeにアクセスしてデジタル権利管理(DRM)の制限なしで楽曲をダウンロードできる新アプリケーションだ。PyMusiqueはiTunesのアプリケーションインタフェースを一切回避することでこれを実現している。これは明らかにiTunes Music Storeのサービス条件違反に当たる。

 PyMusiqueでは楽曲のプレビュー、iTunes Music Storeアカウントの登録、楽曲購入、そして、iTunesではサポートしていない機能として購入後の再ダウンロードが可能だ。しかし特筆すべき点として、PyMusiqueを使って購入・ダウンロードした楽曲はFairPlayで暗号化されていない。FairPlayは、iTunes Music Storeから本来のiTunesを使ってダウンロードした楽曲すべてに使われているDRM技術。

 PyMusiqueはソースコードとしてダウンロード提供されており、Mac OS Xを含む複数のプラットフォームでサポートしているプログラミング言語のPythonを使っている。ソースコードに加え、PyMusiqueはWindowsとLinuxインストーラーでもダウンロード可能。MacCentralがこの記事を掲載した時点で、同サイトからOS X インストーラーは提供されていなかった。

 PyMusiqueには3人の開発者がかかわっている。トラビス・ワトキンズ、コディ・ブロシアス、そしてAppleのDRM技術破りの成り行きに注目してきた向きにはお馴染みのヨン・ヨハンセン、通称「DVDヨン」の3氏だ。このノルウェーのハッカーは、かつてDVD暗号解除ユーティリティDeCSSを作成し、映画業界との論争を巻き起こした中心人物。

 ヨハンセン氏は最初、「QTFairUse」ソフトのリリースでiTunesユーザーの注目を浴びた。このソフトはFairPlayで保護された楽曲を開いてそれをQuickTimeにストリーム、そのコンテンツをDRMなしで新しいファイルに保存することができた。FairPlay鍵をiTunes Music Storeから取得するユーティリティ「FairKeys」もヨハンセン氏が手掛けたほか、iTunesを使わずに音楽をAirPort Expressに送信できる「JustePort」もリリースした。

 MacCentralの記事出稿段階でAppleからのコメントは取れなかった。しかし、最初にiTunes Music Storeに登録する際ユーザーが同意を求められるサービス条件によれば、PyMusiqueなどのアプリケーションを使ってiTunes Music Storeにアクセスすることに対する同社の姿勢は明確だ。

 「Appleが本サービス利用のために提供したソフト以外のいかなる手段によっても、本サービスにアクセスしてはならない」とそこには記されている。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.