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来年のワールドカップは「フルHDの50V型プラズマ」で(1/2 ページ)

» 2005年03月23日 20時07分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 パイオニアは3月23日、企業説明会を実施。出席した伊藤周男社長が、同社のコア事業であるプラズマディスプレイパネル(PDP)事業やホームエレクトロニクス事業の今後の方針を説明した。

photo パイオニア伊藤周男社長

 同社は1月の決算で、2005年3月期連結業績見通しを当初の8000億円から7300億円に下方修正し、当期純利益が80億円のマイナスになる赤字予想を発表。同社にとって9年ぶりの赤字となる最大の要因は、コア事業であるPDP事業やホームエレクトロニクス分野の不振だ。

 「われわれは(創造/革新/先進性や、専門的/洗練/エンタテインメント性が高い)付加価値戦略を推進してきたが、急激な価格下落によるコモディティ化により、当社がずっと目指してきた“付加価値”が取りづらい状況になっている。だがわれわれは今後も“憧れを抱くようなブランド”というポジショニングをなんとしても目指したい」(伊藤社長)

 業績回復の原動力となる同社の“付加価値”製品は、やはり「プラズマテレビ」だ。

 1997年に民生初の50V型を発売するなど“プラズマテレビの先駆者(パイオニア)”だった同社だが、調査会社(ディスプレーサーチ)によると、昨年第4四半期のプラズマテレビ出荷別シェアでは世界第7位にまで順位を落としている。上位を見ると、1位は松下電器産業が死守するも、2位にはLG Electronics、3位にはSamsung Electronicsと韓国メーカーの躍進が目立つ(その他、4位はPhilips、5位はソニー、6位は日立製作所)。

 今年2月にはPDP国内シェア1位の松下電器産業と2位の日立製作所が、PDP事業での開発/生産/マーケティング/知的財産権の各分野で包括的な協業を実施すると発表(2月7日の記事参照)。これは資材の共同調達や両社先端技術の相互活用などで、躍進著しい韓国勢にコスト面で対抗するのが狙いだ。

 プラズマテレビ市場自体は現在も急拡大しており、2004年の出荷台数は全世界で281万7000台にまで増加している(ディスプレーサーチ調べ)。だが大画面テレビの市場でみると、液晶テレビの大型化・コストダウンで、プラズマで主力サイズの42〜47インチクラスでの競合が始まり、50インチ以上ではコスト面で有利なリアプロTVが北米や中国を中心に急伸している。さらにSEDなど次世代テレビの台頭もあり、今後プラズマテレビがたどる道は決して平坦ではない。韓国勢はさらにPDP生産体制を強化してコストダウンをしかけてくると予想され、ソニーのように事実上プラズマ事業から手を引くケースも出始めている。

 このような厳しい市場だが、同社にとっては“追い風”もある。

 同社はこれまで、数は出るがコスト競争が激しいスタンダード(VGA)パネルよりも、付加価値の高い解像度XGA以上の高精細パネルに注力してきた。

photo

 「世界的に進むハイビジョン化の中で、高精細パネルの比重はますます高まると考えている。今後も高精細パネル市場での優位性を高め、この市場でのナンバー1を目指す」(伊藤社長)

50インチでフルHDのプラズマは「来年のワールドカップまでに」

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