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ジュピター、純利益倍増――今後も積極的にCATV買収を狙う

» 2005年03月23日 20時55分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 CATV事業者のジュピターテレコムは3月23日、JASDAQへ上場。代表取締役社長の森泉知行氏が会見を行い、2004年度の業績見込みと今後の方針などについて述べた。

photo ジュピターテレコム 代表取締役社長の森泉知行氏。上場を機に、サービスブランドも「J-COM Broadband」から「J:COM」に変更された

 同社の当期営業利益は226億円、当期純利益は108億円で、いずれも前年同期を上回った。なかでも当期純利益は昨年同期が54億円であり、倍増という好調ぶりを示した。総加入世帯数は187万3000世帯と昨年同期比11万8200世帯の増加となったほか、開始した新サービス(デジタルTVなど)が好調で、ARPU(顧客平均単価)が向上したことが好決算につながった格好だ。

 同社はCATVによる映像配信事業のほか、高速インターネット接続事業、固定電話サービスの3事業を提供しており、19のCATV局からサービスを提供している。CATVのみの加入世帯数だけでも159万2500世帯となっており、CATV市場においては約30%のシェアを握っているが、今後も積極的に他局の買収を進め、都市部および隣接地区を中心にサービス提供エリアを拡大する計画だ。

 「まずはサービスエリアを拡大することが第一なので、積極的に買収していきたい。しかし、買収という方法では年間2つ3つの局を増やすことが限界なので、ビジネス上での提携も進めていきたいと考えている。CATV局同士の連携がこれからは大切になるのでは」(森泉氏)

 昨年4月にはデジタルTVサービス「J-COM デジタルTV」を拡張、提供チャンネル数を増加させており、加入世帯も昨年末で25万世帯に及んでいる。「正直、去年は出来過ぎ」(森泉氏)という順調な滑り出しだ。また、今年1月からはVoDサービス「J-COM オン・デマンド」の提供も開始している。

 サービス提供エリアを拡大する一方、魅力あるサービスを提供することでARPUも引き上げたい考えだ。同社が3つ(CATV・インターネット・電話)提供しているサービスの世帯あたり平均利用数は1.66となっており、ARPUは世帯あたり7090円だが、「デジタル化を進めれば帯域に余裕ができ、VoDをはじめ、セキュリティやショッピングなど新しいサービスも提供できるようになる。実際に関係各社とも話も進めている」(森泉氏)。

 また、昨年4月の業績発表時に言及されたHDD搭載STBの投入もいよいよ行われる。すでに開発段階に入り、メーカーの選定も済んだ状態とのことで、今年第4四半期には市場へ投入される予定となっている。

 25万の加入世帯を得たデジタルTVについて森泉氏は「ハイビジョンなど高品質な映像を見ることができるので、加入者を得ることができたと考えている。今年5月には多チャンネル化を進め、トータル60万世帯の加入を目指したい」と目標を述べる。また、「アナログ停波の2011年ではなく、北京オリンピックの行われる2008年には完全なデジタル化を実現したいと考えている。そのためには廉価版のデジタルSTBを投下する事もあるだろう」と早期のデジタル化を促進する考えを述べた。

 「私たちは、CATV・インターネット・電話という3つのサービスを包括的に提供できるのが強み。2005年度は競争がさらに激しさを増す年になると考えているが、アナログ-デジタルへの移行やVoD、HDD搭載STBの提供、各種サービスのバンドル化などの施策によって、営業利益1850億円、当期純利益140億円を目指したい」(森泉氏)

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