まだセッティング中の会場にお邪魔して、さっそくその実物を見せてもらった。この「Sound Screen Pro」という製品は、独立した平面スピーカーではなく、実はプロジェクション用スクリーンと一体化した製品であった。
会場のほぼ中央に設置されたそのスクリーンは、1965×1508ミリの4:3型で、厚さは10センチにも満たない。だが本当にこのスクリーン自体から音が聞こえてくる。スクリーンの裏側を見せてもらうと、そこにはフェルト地のような薄いサウンドユニットが仕込まれていた。一つのユニットのサイズは60センチ×60センチ。厚みは数ミリといったところで、確かに平面スピーカーのようだ。
スクリーンには細かい穴が開いているため、このサウンドパネルの音がスクリーンを透過して聞こえるというわけだ。映画のスクリーンと同じである。スクリーンゲインは2.1だというから、市販されているスクリーンと比較すると、まあ平均といったところか。
会場ではこの「Sound Screen Pro」を開発、販売するフィンランドの音響設計会社「PRO AV ART」の社長、ヨルマ・サーリッコ(JORMA SAARIKKO)氏にお話しを伺うことができた。
まず気になったのは、このサウンドパネルがどうやって音を出しているのかだ。
「ユニット自体は、3層構造になっています。真ん中の層に金属膜があり、それを両側からフェルト地のような伝導素材で挟んでいるわけですね。この両側の部分には380ボルトの電圧がかかっていて、真ん中の層の電圧を100ボルトから180ボルトまで変化させることで、振動させて音を出しています」(サーリッコ氏)
仕組みとしてはコンデンサースピーカーと同じだが、多くのコンデンサースピーカーは振動板の方に固定電圧をかけ、両側のパネルの電圧を変化させている。Sound Screen Proはその逆で、両側が固定で振動板のほうに可変電圧をかけているようだ。
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