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ダビングは寝て待て?!――PSX+PSPの連携を試してきた

» 2005年03月29日 21時59分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 ソニーの4月15日から発売するDVDレコーダー「PSX」の新機種、「DESR-7700」と「DESR-5700」には、「x-アプリ」で映像コンテンツをメモリースティックにダビングし、ポータブルゲーム機「PSP」で楽しめる機能が追加されている。

 この新しいPSX、先日行われていたフォトイメージングエキスポ 2005にも展示されていたので、すでに実物を見た人も多いはず。PSXで録画・作成した映像をPSPで楽しむまでの手順を実際に試すことができたので、その様子をお届けしたい。

メモリースティックへのダビングはラクラク、問題はその時間

 「TV番組やカメラで録画した映像をDVDに書き出すだけではなく、PSPと連携させることによって、外出先で映像を楽しむという用途を提案したい」(同社)というように、「DESR-7700」と「DESR-5700」のGUIには「DVD書き出し」などと同様に、メモリースティックへのダビングを行う「HDD→M.S.ダビング」というアイコンが用意されている。

photo DESR-7700のGUI(XMB)には「HDD→M.S.ダビング」という項目が用意されている

 PSPで映像を楽しむにはメモリースティックDuoを経由する必要があるので、PSX前面にあるメモリースティックスロットにメモリースティックDuoをセットしたのち、「HDD→M.S.ダビング」を選択すればメモリースティックの空き容量チェックが始まる。あとは持ち出したいコンテンツを選び、ダビングを開始すればPSXに“お任せ”だ。

photo メモリースティックの空き容量チェックが行われる。「追記」「全動画削除」「フォーマット」が選択できる

 この作業、実は単純なダビングではない。

 HDD内のMPEG-2をPSPで再生できるMPEG-4(MPEG-4SP)へ変換する「再エンコード」が行われているのだ。エンコード時にビットレートは768kbpsと384kbpsを選択できるが、768kbpsの場合で再生時間の約5倍、384kbpsの場合で再生時間の約4倍のエンコード時間がかかる。例えば、1時間番組を高画質ダビングしようと思ったら、約5時間も待たなくてはならない計算だ。

 録画した番組やDVカメラから取り込んだ映像のほか、x-アプリで写真と映像を組み合わせた「x-PictStory」をダビングすることも可能だ(現行モデルのDESR-7500/5500でも、x-PictStoryをDVDに書き出せる)。13枚の写真と2分弱の音楽を組み合わせて作成した約2分(約14Mバイト)のx-PictStoryを、768kbpsでメモリースティックへダビングしてみたところ、ダビング終了までの所要時間は約12分と表示された。

photo ダビング中の画面。今回は高画質(768kbps)ダビングで再生時間の約6倍の時間がかかっているが、これは最終調整中のためだという

 ダビング作業中でもあらかじめ予約した録画は実行されるが、新規に予約録画を設定したり、録画を開始することはできない。また、あらかじめMPEG-4SPでメモリースティックへ番組を録画保存したり、あらかじめHDD上でMPEG-4SPへの変換作業を行い、MPEG-4SPのファイルだけを集めたフォルダを作っておくということもできない。

 あくまでも、「PSXのHDDに入っているMPEG-2を、PSPで見られるようにメモリースティックへ書き出す」という点だけにフォーカスし、可能な限り操作を簡略化した機能といえるだろう。


 同社では「就寝前などにダビングをセットしてもらいたい」とコメントしているが、「384kbpsでダビングしても再生時間の約4倍」というエンコード時間だけを見れば、とても気軽に使おうとは思わないだろう。

 1万円程度で購入できる512Mバイトのメモリースティックには約110分の映像をダビング可能(384kbps)なので、2時間ドラマやサッカーの試合などを持ち出すには最適とも思えるが、ダビングに時間がかかるようだと、持ち出す作業自体を面倒に感じてしまうユーザーもいるはず。

 しかし、同社にとって「ダビングに時間がかかる」ことは、ある程度覚悟した上でのことのようだ。「画質を下げるなどすればダビングを高速化することも可能だったが、画質にこだわったため、あえて現在の仕様とした」(同社)

 PSPで動画を楽しむツールとしては、各種の動画をMPEG-4SPへ変換できるImage Converter 2がすでに用意されているが、「これはPCリテラシーの高いユーザー向け」(同社)。

 “家電”であるPSXにPSPとの連携機能を搭載し、ダビングに時間がある程度がかかるとしても、クオリティを優先した映像を、家電を操作できるユーザー全員に「動画を持ち歩く」という使い方と共に提案することが同社の狙いだ。

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