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機能も質感もピカイチな“大人のデジカメ”――IXY DIGITAL 600レビュー(1/5 ページ)

» 2005年04月19日 15時20分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 多くの主力デジカメがスタイリッシュをうたいつつも、「より大画面」であるとか「より高感度」であるとか「より薄い」であるとか「手ブレ補正」であるとか、そういう性能的な優位性をうたってきた中、キヤノンのIXY DIGITALシリーズはモノとしての質感と完成度で勝負してきた。シリーズ新製品「IXY DIGITAL 600」は、カッコいい大人のIXY DIGITAL、といった感じだ。

 もともとコンパクトデジカメとしての完成度がすこぶる高い同シリーズならではの製品。何しろ、2000年に初代IXY DIGITALが登場して以来、新製品が出るたびに売り上げ上位に必ず顔を出していた定番中の定番シリーズの最新作である。

1/1.8インチCCDを搭載したハイエンドな高級コンパクト

 現在のIXY DIGITALは単焦点のLを除くと2つに分かれている。1/2.5インチの小さなCCDを搭載した薄型軽量の「IXY DIGITAL 50」などの2ケタ型番系と、1/1.8インチの大きめCCDを搭載した3ケタ型番の「IXY DIGITAL 500」系だ。前者は「IXY DIGITAL 55」にマイナーチェンジされ、後者は今回のIXY DIGITAL 600だがこちらはフルモデルチェンジである。

 ほとんどのメーカーは主力コンパクトデジカメに1/2.5インチ500万画素のCCDを採用しているため、1/1.8インチCCDのIXY DIGITAL 600は価格的にもサイズ的にも不利ではあるが、その分ハイエンド機にふさわしいデザインと質感を備えてきた。

微妙な曲面や角の丸みがポイントのボディがポイント。四角いイメージがあったIXYががらりとイメチェンした
今までもロゴは縦向きに付いていたが、今回初めてちゃんと縦に置けるようになった。建ててみると、上面(右側面)のアーチ型がよくわかる。canonのロゴの上にあるメタリックなパーツはストラップ穴だ

 何しろステンレス製のボディは微妙に丸みを帯びていて手に優しく、前面に微妙な曲面はかなり細かい計算に裏付けられたシンプルさといった趣きを持つ。好き嫌いはあるだろうが、これを見て「安っぽい」と思う人はまずいないはず。

 機能面では、一般的なフルオート系コンパクトデジカメだ。

レンズ位置などのレイアウトは従来のIXY DIGITALを踏襲。光学ファインダ、AF補助光、がレンズ上部にある

 レンズは37〜111ミリ相当の光学3倍ズームで、明るさはF2.8〜4.9。広角時の樽型歪みもほとんどなく気持ちよく使える。マクロ時の最短撮影距離はワイド側で8センチ、テレ側で30センチまで寄れる。ワイド側で8センチあれば実用上は困らないが、もうちょっと望遠側で寄って撮りたいことはある。なお、「デジタルマクロ」というユニークな名前のモードを持っているが、これはワイド端固定マクロモード+デジタルズームという苦肉の策。

 CCDは1/1.8インチの710万画素。「Powershot G6」や「PowerShot S70」といったハイエンド系マニュアル志向モデルで使われるちょっとハイクラスなCCDだ。

DIGIC IIの搭載で各所で高速化を実現

 前モデルからデザインとともに大きく変わったのは映像エンジン。ずっとキヤノンはDIGICという映像エンジンを使っていたが、2004年秋からDIGIC IIの採用が始まり、IXY DIGITAL 600もそれを搭載してきた。

 DIGIC IIの一番のメリットは処理の高速化だ。従来のIXY DIGITALは起動時間・各種操作時のレスポンス、再生時のコマ送り(特に縦位置で撮った画像の表示)速度にやや不満があったが、今回はどれも高速になったのは何より嬉しい。起動は約1秒だし、再生速度も快適になった。

 特に上面の電源スイッチを押したらすぐ電源が入ってレンズが飛び出てくるのは気持ちいい。

右側面にはストラップ穴があり、その上のカバーを外すとUSB兼A/Vアウト用コネクタが現れる。レンズは2段沈胴式で高速に伸縮する
ボディを立てた状態で上面を撮影。シャッターの周りがズームレバーになっており、隣にインジケーター付の電源スイッチがある

 DIGIC IIにしたメリットはもう1つある。連写性能だ。IXY DIGITAL 600では秒2コマの連写をSDメモリーカードがいっぱいになるまで撮り続けられる。これはなかなかすごい機能向上だ。

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