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「今は足場固めの時期」――「OnGen」が目指す音楽配信のカタチ(前編)インタビュー(1/2 ページ)

» 2005年04月27日 01時40分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 2004年8月、有線放送とFTTHを中心としたネットワークサービスを手がけるUSENが音楽配信サービス「OnGen USEN MUSIC SERVER(以下 OnGen)」を開始した。それ以降、2004年10月にはMSNが、今年2月にはヤフーが音楽配信をスタートするなど参入が相次いでいるが、これらは音楽配信サービス事業者全体から見れば後発の部類に属する。

photo OnGen

 現在、国内最大規模の音楽配信事業者であるレーベルゲートの赤坂雄治氏は「iTunes Music Store(iTMS)が登場すれば音楽配信の市場が活性化する。早く登場して欲しい」と述べるが、レーベルゲートはレコード会社が共同出資して設立した企業であり、ネットワークサービス事業をバックボーンに持つUSENとは成り立ちも目指すところも異なる。

 音楽配信サービス事業者としては“後発組”となるUSENの下浦敦史氏に、音楽配信サービスを手がける理由と現状、今後のビジョンについて聞いた。

photo OnGen事業 プロジェクトマネージャー 下浦敦史氏

高速インフラを持ちながら、なぜ音楽配信サービスのスタートが遅かったのか

 同社では2000年7月にブロードバンド接続事業を開始、2001年3月にはFTTHによる100Mbpsの接続サービスとブロードバンドコンテンツ「BROAD-GATE 01」の提供を開始している。以前からこうした高速接続インフラを持ちながら、なぜ音楽配信サービスのスタート(2004年8月開始)は遅かったのか。

 「光インフラを活用できるコンテンツ、ということでまずは動画の配信からスタートしました。帯域だけでいえば当時から音楽を配信することも可能でしたが、まずは光回線のユーザーに向けた動画配信に注力しました。また、2000年〜2001年は音楽配信サービスがレコード会社主導で行われており、プラットフォーマーの立場としては参入しにくかったということもあります」

 音楽配信の開始が遅くなった理由を“ブロードバンドユーザーに対する動画配信サービスを優先させた結果”という下浦氏。だが、「有線放送」という音楽のコンテンツ販売を40年以上に渡って続けてきた同社が、その舞台を自らが敷設したネットワーク上だけではなく、インターネットという“より広いフィールド”でも展開したいと考えるのは自然な流れだ。

 iTMSのヒットやパッケージのみでの販売に限界を感じたレコード会社が見せた姿勢の変化、インターネットを通じたコンテンツ販売の一般化といったさまざまな環境の変化が、同社を音楽配信サービスの世界へ踏み込ませた。

 「有線放送をはじめとするコンテンツビジネスで培ってきたキャリアやノウハウの蓄積があるのがOnGenの最大の特徴。各レコード会社はもちろんですが、プロダクションごとにも個別に声をかけ、配信楽曲にも独自色を出しています。それに、グループ企業であるBMBが運営するカラオケ“UGA”と協力して、ボーカルのない歌詞付きカラオケ曲を配信しているのも特徴です」

 このようにOnGenの特徴を説明する下浦氏だが、「ただ単純に配信可能な楽曲数を増やしていくことだけに注力していくつもりもない」ともいう。

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