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内蔵HDDで快適ザッピング――東芝「ちょっとタイム “face”」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年04月29日 09時43分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 HDDを“テレビのキャッシュ”として考えると、DVDレコーダーとはまた違った利便性が実現できるらしい。LH100シリーズが登載した「ちょっとタイム」と「今すぐニュース」を実際に使ってみると、テレビに録画用ストレージが内蔵されているメリットがよくわかる。

 「ちょっとタイム」機能は、端的にいうと“一発録画機能”だ。テレビを見ているとき、電話が鳴ったり、不意の来客で席を外すとき。見逃したくない番組なら、リモコンにあるボタンを押す。すると画面に時計のマークが出て、その時点からテレビは録画を開始する。用事が済んだ後でもう一度ボタンを押すと、先ほどのシーンに遡って再生を始めるという仕組みだ。

photo 録画開始時

 再生を始めても録画は続いているため、そのまま最後まで見ても良いし、途中のCMを「ちょっとスキップ」で飛ばして実放送時間に追いついてもいい。スキップは5秒/10秒/30秒/5分の4段階から選択可能だ。なお、このスキップ機能は、予約録画した番組などに対しても使用できる。

 「ちょっとタイム」と同じことは、DVDレコーダーやビデオデッキを使っても可能だが、異なるのはテレビと録画機が一体化されていること。録画を始める前に電源や入力切替が発生しないうえ、リモコンを持ち替える必要もない。DVDレコーダーを起動したら、ドライブの中にDVDメディアが入っていて、ローディングの間ずっと待たされるなんてこともなくなる。

 そもそも、こうした手間が発生すると、イザというときに困る。来客や電話なら多少待たせてもいいかもしれないが、不意に強烈な便意に襲われたりしたら「待ったなし」だ。手元のリモコンでボタンを1つ押すだけという手軽さが、これほど有り難く感じることはない。ちなみに東芝によると、この機能の開発コードは「ちょっとトイレ」というらしい。的を射たネーミングだ。そのまま製品化されなかったのが惜しい。

 実際に使用してみると、来客や電話がある(常識的な)時間は仕事に出ていることが多く、「ちょっとタイム」の利便性を活かせる場面はあまりない。一方、これは便利だと感じたのは“ザッピング”のときだ。

 見ていた番組がCMに入ると、ついついチャンネルを変えてしまうものが、気になる番組を見つけて、そのまま見続けてしまうことも多い。そこで、CMに変わると同時にタイムをかけておく。あとは心ゆくまでザッピングし、気になる番組を探せばいい。

 ちょっとタイムでは、録画時間が設定を超えた場合、最初の部分から上書きを始めてしまう点に注意したい。たとえば30分(デフォルト値)に設定している場合、席を空けていた時間が30分を過ぎると、最初のほうが削除される。長電話やザッピングが多い人は、最大録画時間を1時間程度に設定しておくことをお勧めする。

 一方の「今すぐニュース」は、テレビが定期的にニュース番組を自動録画してくれる機能だ。ニュース番組は、チャンネルと時間を指定して、最大9番組まで設定可能だ。

 たとえば午前6時、正午、夜7時、10時のニュースを設定しておく。午後3時に「今すぐニュース」ボタンを押せば正午のニュースが再生され、夜中の12時だったら夜10時のニュースをみることができる。ただ、すべてのニュースを録画しつづけるとHDD容量が減る一方のため、新たに録画が済むと、それまでのニュース録画は削除される仕様になっている。

 贅沢をいえば、音声付きの“早見再生”機能も付けてほしかったところ。深夜に帰宅したときなどは、ニュースをチェックしたい反面、手早く済ませてゆっくりしたいからだ。

気持ちに余裕を与えてくれるテレビ

 試用期間は数日間と短かったが、「ちょっとタイム“face”」が届いてから、ちょっとした心境の変化があった。録画やタイムシフトという点では、既にDVDレコーダーを使用しているためか、“視聴スタイルが変化する”というほどではない。ただ、テレビに向かっているときに安心感のようなものが生まれたのは事実だ。

 たとえば、CM中にザッピングしていても、見ていた番組がいつ再開するかわからないから、今までは頻繁に元のチャンネルと行き来していた。深夜に帰宅したときは、ニュースや天気予報を求めてCSのチャンネルを彷徨うことも多かった。それがリモコンのボタン一発で済む。

 しかし、「ちょっとタイム“face”」が手元からなくなったらどうなるか? おそらく、手持ちのDVDレコーダーで夜のニュースを“毎日録画”する設定を行い、またテレビ視聴時には、ザッピングに備えてDVDレコーダー側のチューナーをメインに使うようになるだろう。前述のように、少し手間をかければ、レコーダーとテレビの組み合わせである程度は代用できてしまうからだ。同じように、既にHDD内蔵のDVDレコーダーを所有している人は、その利便性が理解できる反面、購入に踏み切る動機に欠けるかもしれない。

 ただし、個人的な感想を言うなら、当面はDVDレコーダーでいいが、テレビを買い換える機会があればHDD内蔵型を候補に挙げてみたい――「ちょっとタイム face」は、そんな風に意識を変えてくれるテレビだ。テレビの買い換えを予定しているなら、店頭で一度チェックしてみることをお勧めしたい。

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