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2005/05/27 20:14 更新

緊急インタビュー
ソニー・西谷氏に聞く「次世代DVD統一交渉の顛末とこれから」 (1/4)

事業トップ同士の会談も物別れに終わった次世代光ディスクの規格統一。今後、各社は次世代光ディスク事業にどのように取り組んでいくのか。統一交渉の一部始終と今後の光ディスク事業に関して、まずはソニー・業務執行役員常務の西谷清氏に聞いた。

 今月5月15日に各社の事業トップレベル会談が行われた次世代光ディスクの規格統一交渉は、決裂という結果に終わった。

 2月下旬から東芝がソニーに、3月初旬に東芝が松下電器産業にアプローチして始まった交渉は、当初は互いのディスク製造技術などを確認し合い、その後、5月の連休明けにアプリケーションフォーマットの比較検討を行い、最後に核心となる物理フォーマット部分の検討に入っていった。しかし物理記録技術での合意は得られず、事業トップによる会談に持ち込まれたわけだ。

 最終交渉には東芝・上席常務の藤井美英氏、ソニー・業務執行役員常務の西谷清氏、松下電器産業・AVCネットーワークス社の大坪文雄氏がテーブルに着き、加えて経済産業省の情報通信機器課長である福田秀敬氏も同席。この会談ではBlu-ray Disc(BD)と同じ0.1ミリカバー層構造を採用した新規格での統一に関し、東芝が最終決断を伝える手はずになっていた。しかし藤井氏はソニー・松下が、法的リスクおよび0.1ミリ構造のメリットと低コスト複製の可能性を示せなかった事などを理由に0.1ミリでの統一を断った。

 現時点において、3社とも統一の門戸を閉じてはいないが、16日には各社それぞれが、製品化に向けて再スタートを切っており、ここでひとつの区切りが付いた格好になっている。

 今後、各社は次世代光ディスク事業にどのように取り組んでいくのか。現在の情報を整理しつつ、まずはソニー・西谷氏の話を紹介する。なお、来週には東芝・藤井氏にも、統一交渉および今後の光ディスク事業に関してのインタビューを予定している。


不毛な戦いは避けるべき

 そもそも、今回の統一交渉は東芝・藤井氏がソニー取締役 執行役 副社長兼COO(当時)・久夛良木健氏に、2月に統一の話を持ちかけたところから始まっている。半導体事業においてCellの共同開発プロジェクトを共にまとめた久夛良木氏に藤井氏は、物理構造にこだわらず、両社に技術を合わせたより良い統一規格を目指す案を提示したと見られている。

――統合交渉はどのような経緯で始まったのでしょう。

 「東芝・藤井氏がデジタルメディアネットワーク社長に就任されてから、当時の私の上司であった久夛良木とは旧知ということもあり、情報交換を頻繁に行っていたようです。具体的な統一交渉は2月後半ですが、スタート時点での細かな経緯は私は把握していません」

――規格統一に関しては、ここまでそれぞれ別規格で進んでいる以上、市場に判断を仰ぐ方がよいといった意見も出始めています。統一のテーブルに就いたソニーの基本的なスタンスをお話しいただけますか?

 「(青紫レーザーダイオードを用いた光ディスクの)フォーマットの開発から関わってきて、なぜ分裂してしまったのかをずっと考えていました。12センチ光ディスクはビデオテープと異なり、メディアの物理的形状が同じです。ビデオテープではカセットの形状からして互換性が取れないものでしたが、今回は12センチ光ディスク同士で形状は同じ。はるかに互換は取りやすい。どちらが勝つにしても、不利益を被るのはユーザーですよ。企業の側も消耗が激しい。不毛な戦いは避け、同じ基本技術の上で製品への実装で競争を行うべきでしょう」

――BDとHD DVDに分裂する以前から、規格統一は強く意識していたという事でしょうか?

 「2002年にBlu-ray Disc Fonuders(BDF)発足の発表を行いましたが、その前準備を進める中で、少なくとも日本の会社は全部一緒に……と思っていました。東芝とはBDF発足の2年前から山田さん(山田尚志氏)や溝口さん(溝口哲也氏)にBDの構想を話していました。当時から、BDFの実際の立ち上げまでの間、ずっと日本のメーカーはみんな一緒に……という思いがあった。東芝からの話を受けた時、もう一度話ができるのであれば、無駄な規格争いはしなくていいだろうと考えました」

――とはいえ、Blu-Ray Disc Association(BDA:2004年にBDFから名称変更)に参加する他メーカーは、今年末のPCへのドライブ搭載や来年のプレーヤー/レコーダー発売に向けて事業計画を進めていました。すでに数社からBDレコーダーも発売されています。その状況下で、東芝と新たに統一規格をというのは、よほど強い決意が無ければ難しいのでは?

 「VHSとβの時も大変でしたが、ビデオテープは応用分野が限られています。それに比べ、今の光ディスクは格段に用途が広がっている。光ディスクはすでに、映像事業部だけの規格ではありません。その中で、光ディスクに関わるすべての業界を巻き込んでの規格争いが実際に始まれば、それこそ世界大戦のようになるでしょう。可能ならばそれは避けたい。BDAで一緒にやってきた仲間も、0.1ミリの基本構造を守るならば、賛成してくれるだろうと考えていました」

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[本田雅一,ITmedia]

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