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この夏“買い”の大画面テレビ麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」――バイヤーズガイド編(1/4 ページ)

» 2005年06月30日 22時20分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 今年の夏は、30インチ以上の大画面テレビが“買い”だ。

 その主役となるのは、もちろん「薄型テレビ」。特にここ1年の液晶テレビの大型化は目覚しく、先日にはシャープが65V型の世界最大フルHD液晶テレビを発表。それを受けて以前は20〜30インチ台がメインだった液晶の主力ラインアップが30〜40インチ台へとサイズアップし、大画面での価格も30インチ台ではプラズマテレビと競合できるところまでこなれてきた。

 一方、“薄型大画面テレビの雄”として市場を先導してきたプラズマテレビも、高コントラスト比や動画応答性など自己発光デバイスのメリットを前面に出して“映画向きの高画質”をアピールしている。価格面でも40インチ以上では液晶よりプラズマの方が有利だ。

 だが、大画面でのコストパフォーマンスでいうならリアプロジェクションテレビ(リアプロTV)も忘れてはいけない。この“第3の大画面”の市場には国内メーカーも続々参入しており、今年の夏は6社からリアプロTV製品を選べるようになった。

 ボーナス商戦真っ只中にお届けする月イチ連載『麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」』。今回は「大画面テレビはほとんどすべてレビュー済み」という麻倉氏に、大画面テレビの動向と“この夏イチオシ”の大画面テレビをうかがった。

photo ボーナス商戦真っ只中。“この夏イチオシ”の大画面テレビは……。(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

――今年前半の大画面テレビのトレンドを教えてください。

麻倉氏: 液晶テレビが65V型まで大型化したのがエポックメイキングなできごとでしたね。プラズマテレビは50インチ以上の大画面も容易でしたが、液晶テレビはその構造上、大画面が難しいとされていました。それがシャープvsサムスンの液晶バトルといった背景もあって大画面化が加速。そこで安定した生産体制を誇る日本メーカーの“インフラとしての製品技術力の高さ”の集大成として液晶での大画面化が実現したのでしょう。

――テレビが大画面になると何が変わるのでしょうか?

麻倉氏: テレビがここまで大画面になってくると、ディスプレイのあり方が変わってきます。単にテレビ放送を“見る”というものから、映画など作品性の高いものを“観る”という方向になっていくのです。そして大画面になればなるほどフルハイビジョン(フルHD)が必須条件になってくるでしょう。

――“フルHD”がこれからの大画面テレビのキーワードになるわけですね。

麻倉氏: そうです。ただ現在のところ、フルHDの放送自体は少ないのですが、Blu-ray DiscやHD DVDはフルHD対応が標準となります。まさに大画面テレビこそが次世代DVDにふさわしいプラットフォームといえるでしょう。液晶テレビでは三菱電機の37V型やシャープの45V型以上ですでにフルHDに対応しています。また、画素の微細化が難しく、フルHD対応は困難といわれていたプラズマテレビでも、今年の秋には各社ともフルHD対応製品に手をかけるという情報を聞いています。次世代テレビとして注目されているSED(Surface-conduction Electron-emitter Display)などは、フルHDが既定技術として盛り込まれています。リアプロTVも今秋あたりからフルHD製品が登場するようです。いよいよ“フルHDストーリー”がこの秋からスタートするのです。

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