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「レコーダーでCM認知は下がらない」──電通が反論

» 2005年07月20日 20時08分 公開
[ITmedia]

 「デジタルビデオレコーダー(DVR)でCM認知は下がらない」「DVRユーザーはCMを浸透させる上で効率的なターゲット」──こんなレポートを電通が公表した。「DVR普及でCM効果が下がる」とした調査結果が相次いでいるのに対し、広告代理店の最大手が反論した形だ。

 レポートによると、国内のDVR所有世帯の1日当たりのライブ視聴時間平均は、非所有世帯を100%とすると、平日で93.4%、土日で94.8%と少なかった。

 ただ「ライブ視聴時間の相違がDVR所有の有無によるものか、あるいは所有者の属性によるものかは明らかではない」と判断を留保する。つまり「DVRによるタイムシフトでライブ視聴時間が減った」のか、「DVR所有者はネットなど他メディアへの接触に積極的で、テレビの前に座っていない」ためなのかは別の調査が必要だとしている。

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 いずれにせよ、現在のDVR世帯普及率が15%程度であることを考慮すれば、「この違いがテレビ広告ビジネスに与える影響はごく軽微と考えて差し支えない」とした。

 DVRユーザーを調べてみると、「広告は時代の流れを反映している」「広告は便利」「話題のCMは見たい」といったCMへの評価が非所有者に比べ高かった。

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 「DVRユーザーはCMをスキップするため、CM認知率が減る」という指摘に対しては、調査結果をもとに「DVR所有者のCM認知率は非所有者より高い」と反論する。情報感度が高く、テレビが好きといったDVRユーザーの特性が理由と見ており、現段階ではDVRがCM効果の低下につながることはないと結論。「むしろDVRユーザーこそCMを浸透させる上で効率的なターゲットグループ」と主張している。

 英国や米国など、DVRの普及が進んでいる海外の事例からも「むしろDVRはテレビへの接触機会を増やす」と分析。タイムシフト視聴とテレビ視聴率の関係についても触れ、日本の視聴率調査はライブ視聴のみを対象としており、録画も含める英米とは異なると指摘。状況が異なる英米との単純比較で日本国内の影響を論じるべきではないとしている。

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