松下電器産業のFZシリーズがまたやってくれた。春に出た「DMC-FZ5」(以下、FZ5)もスゴかったが、今度の「DMC-FZ30」(以下、FZ30)もまたスゴいのだ。
FZシリーズといえばいち早く「光学式手ブレ補正付12倍ズームレンズ」を搭載したシリーズ。2年前からは「CCDは小さいけれどもボディもコンパクトでコストパフォーマンスが高い」モデル(1/3.2インチCCD搭載)と、「ボディは大きいけれども本格派」モデル(1/2.5インチCCD搭載)に分かれていたのだが、2005年春に登場したFZ5は前年のハイエンドモデル(「DMC-FZ20」、以下FZ20)とまったく同じCCDを搭載しながら、コンパクトモデル(「DMC-FZ3」、以下FZ3)のサイズだったのだ。なんとも魅力的である。
となると気になるのがFZ20。レンズや性能、拡張性に違いがあるとはいえ、安くて軽くて小さなFZ5と同じCCDでは立つ瀬がない。そこで、FZ20の後継がどうなるのかずっと気になっていたわけだが、秋モデルでやってくれたのである。
FZ20より大きくなった1/1.8インチCCDを搭載し、フルモデルチェンジを果たしたFZ30の登場だ。
CCDサイズが上がったのにボディはほとんど大きくなってない理由は、おそらくレンズである。2004年までのFZシリーズは「手ブレ補正」「12倍ズーム」「ズーム全域でF2.8」という驚異的なレンズスペックを誇っていたのだが、これだとどうしてもレンズが巨大になる。そこで2005年のFZは「ズーム全域でF2.8」を諦め、F値を可変にすることでレンズのコンパクト化を図ったのだ。
FZ30のレンズは35〜420ミリ相当の光学式手ブレ補正搭載12倍ズームで、F値はF2.8〜3.7。テレ側が少しだけ暗くなった。でも実用面ではほとんど問題なく、それ以上にCCDが大きくなったメリットの方がでかい。そのCCDは1/1.8インチの800万画素だ。
FZ30の1番のトピックがCCDサイズの変更だとすれば、2番目のトピックは設計し直されたボディとユーザーインタフェースだろう。
レンズ固定式一眼レフカメラという風情のデザインコンセプトが強化され、よりそれっぽくなったのだ。ボディも一眼レフなみに大きい。幅が約14センチ、高さは約8.5センチ。ちなみにキヤノンの「EOS Kiss Digital N」の幅は約12.7センチで高さが約9.4センチだから、小型一眼レフとさほど変わらない存在感なのだ。重さも撮影時で約740グラムと重量級である。
その分、使い勝手も本格的だ。しっかりしたグリップにやや傾斜がつけられて押しやすいシャッター。人差し指側と親指側の両方に設けられた電子ダイヤルによる絞りとシャッタースピードの操作。
そして一番の注目はレンズ部。沈胴しない(つまり広角側も望遠側も長さが変わらない)レンズの胴にはズームリングが設けられており、リングの回転でズーミングを行う。これが実にビビッドに反応してくれて使っていて気持ちいい。さらにズームリングの手前にはピントリングがありMF時にはこれでフォーカシングを行う。
このように、よりメカニカルな“カメラくさい”操作性に設計し直されたのである。
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