ITmedia NEWS >

「現場のナマの声を反映」――ビクター、HDV720p対応のプロ向けHDビデオカメラ

» 2005年08月03日 21時39分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 日本ビクターは8月3日、HDVフォーマットに対応したプロ/ハイエンドユーザー向けのハイビジョンビデオカメラ「GY-HD100」と、業務用HDVレコーダー「BR-HD50」を発表した。9月下旬から発売する。価格はGY-HD100が87万1500円、BR-HD50が52万5000円。

photo プロ向けのハイビジョンビデオカメラ「GY-HD100」

 GY-HD100は今年4月に米国で開催した放送機器展示会「NAB 2005」で同社が参考出展して話題となっていた製品。同社が2003年1月に業界に先駆けて市場投入した家庭用ハイビジョンビデオカメラ「GR-HD1」と同じく、HDV720pのフォーマットを採用し、MiniDVテープに720p(1280×720ピクセル)ハイビジョンの記録・再生が行える。また、レンズマウント部に1/3型バヨネットマウントを採用(標準でフジノン16倍ズームレンズ「Th16x5.5BRM」が付属)したほか、1/2→1/3型に変換できるマウントコンバーターもオプションで用意するなど多彩な交換レンズに対応するのも特徴だ。「HDV規格のビデオカメラでレンズ交換に対応したのは世界初」(同社)。

photo NAB 2005では「2005年度 NAB AIMアワード(コンテンツ製作部門)」を受賞

 HDV720p記録再生に加えて従来のDV(SPモード)記録再生も可能なHDV/DVスイッチャブル仕様を採用。720/30p|720/24p|480/60pのHDV(60Hz)モード、720/25p|576/50pのHDV(50Hz)モード、480/60i|480/24pのDV(NTSC)モード、576/50i|576/25pのDV(PAL)モードが選択できる。

 ハイビジョン撮影時に適正なフォーカス合わせを実現する独自の「フォーカスアシスト機能」を搭載。ビューファインダーやLCDディスプレイを一時的にモノクロにして、画面中のフォーカスの合った画像のエッジ部のみカラー表示することによって、瞬時にフォーカス調整ができるという。

photo 画面をモノクロ化し、合焦した部分だけ色をつけることで瞬時のピント合わせが可能に

 また、プログレッシブ収録時に滑らかな映像記録を可能にする「スムースモーション機能」も独自開発して搭載した。

 「30pモード記録時も60pでカメラ部を駆動することで2倍の情報量を確保し、被写体の動きを滑らかにするフィルター処理を新たに開発した」(同社)

photo スムースモーション機能

 カメラのサイズは235(幅)×232(高さ)×341(奥行き)ミリ・重さ約3300グラム(撮影時)と業務向けとしては非常に軽量コンパクトに仕上がっている。コンパクトショルダータイプの新ユニバーサルデザインで、常に快適なポジションが得られるスライド式ショルダーパッドや、ショルダーポジションでの耳あて位置に音声確認用の小型スピーカーを内蔵するなど細かな使い勝手を考慮した仕様になっている。

photo

 「映像の高画質化の流れとともに、ビデオジャーナリストが世界各地で活躍し、プロの現場でもビデオカメラの小型化ニーズが非常に高まっている。製品開発にあたって、国内外の放送局やプロダクション会社に市場調査を実施。約2年間にわたって実際のプロカメラマンなどにヒアリングして小型ビデオカメラのニーズを探った。現場のナマの声がしっかり反映されている使い勝手の良いビデオカメラに仕上がっている」(同社)

 「BR-HD50」は、HDV/DVノンリニア編集システムに対応する高精度なプレーヤー/レコーダー。GY-HD100と同様にHDV720p記録再生に加えて従来のDV(SPモード)記録再生も可能なHDV/DVスイッチャブル仕様。MiniDVカセットに加えてスタンダードDVカセットにも対応し、長時間記録が行える。デジタルインターフェースHDMI出力端子を装備するほか、IEEE1394入出力、コンポジット入出力(SD)、Y/C入出力(SD)、アナログコンポーネント出力端子など多彩なインタフェースを備えた。

photo HDV/DVノンリニア編集システムに対応する「BR-HD50」

 「当社は業界に先駆けてHDV規格の家庭用ビデオカメラを市場に投入したが、プロ/ハイエンドユーザー向けの製品分野は他社に遅れを取っていた。市場の動きはSDからHDに流れ、プロの撮影現場でもコンパクト機のニーズが非常に高まっている。今後はプロ向けにも力を入れていき、2006年度は世界シェアで現状の1ケタ台から25%にまでシェア拡大することを目標としている」(同社プロシステムカンパニー国内営業部長の柴田健次郎氏)

photo 同社プロシステムカンパニー国内営業部長の柴田健次郎氏

 なお、今回の製品はHDV720pのフォーマットを採用しているが、家庭向けビデオカメラで大ヒットとなっているソニーのHDVビデオカメラ「HDR-HC1」のように、国内ではより高精細な1080i対応機を望む声も高い。

 「1080i方式での製品はもちろん検討しているが、製品化の時期はまだ未定。だが、PCを使ったノンリニア編集ではプログレッシブ記録の720pのほうが扱いやすいという面もある。1080i対応機は市場ニーズをよくみて投入していきたい。今回の新製品の技術を生かした家庭用HDVビデオカメラの新製品も期待していてもらいたい」(同社)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.