前回、前々回とポータブルプレーヤーを使う上で欠かせない圧縮音源について解説してきた。今回からはiTunesやSonicStageなど、各種音楽ライブラリーソフトの特徴と、便利に使いこなすためのちょっとしたTipsを紹介したい。まずはiTunesだ。
iPod用の音楽ライブラリーソフトとして配布されているのがiTunes。現在の最新バージョンは4.9で、ここから無償でダウンロードできる。
最新版は写真の転送やインターネットラジオ/ポッドキャスティングの受信など、音楽ライブラリーソフトとは思えぬほどの多機能ぶりを誇るが、CDからの楽曲インポートについても、“古株”なだけに操作性などもよく練り込まれている。
CDから楽曲をインポートする際に選択できるエンコード形式はAAC/AIFF/Appleロスレス/MP3/WAVの5種類。AAC/MP3については前回、前々回でも説明したので割愛するが、注目したいのが「Appleロスレス」だ。
これは同社独自のフォーマットなのだが、MP3やWMAとは異なり圧縮してもデータの欠落がまったく起こらない「可逆圧縮」の形式を採用しているのが特徴だ(MP3やWMAは、元の音データから人間の耳が感じにくい部分を間引く「非可逆圧縮」)。データの欠落がまったく起こらないため、理論上は非可逆圧縮よりも原音に忠実なのだが、その分圧縮率が低いという結果にもつながる。
試しにiTunesで8曲/75分46秒のCDを丸ごとAppleロスレスとAAC、それにMP3でエンコードしてみたところ、ファイルサイズは以下のようになった(AACとMP3のビットレートはそれぞれ128kbpsを使用した)。
8曲/75分46秒のCDのエンコード結果
ファイル形式(ビットレート) | ファイルサイズ |
---|---|
Appleロスレス(-) | 562Mバイト |
AAC(128kbps) | 70.1Mバイト |
MP3(128kbps) | 69.4Mバイト |
Appleロスレスを適用したファイルのサイズが飛び抜けて大きいが、これは致し方ない。ストレージに余裕があり、なによりも原音のニュアンスを少しでも損ないたくないという向きにはオススメできるエンコード方式だといえる。
ほかにもiTunesには便利な機能が多く搭載されている。数え上げればきりがないのだが、個人的に重宝しているのが、コンピレーションCDのまとめ機能とクロスフェード機能、ライブラリーの共有機能だ。
コンピレーションCDは参加しているアーティストが複数いるので、普段通りライブラリーを管理していると、そのCDを聴くためにはアルバム名から探すか、プレイリストを利用することになる。ただ、アーティスト名からアルバムを選択して聴いている筆者のようなユーザーも多いはずで、その場合には少々面倒だ。
これを解消するには、「編集」-「設定」-「一般」に用意されている「ブラウズ時にコンピレーションをまとめる」のチェックボックスをオンにすればいい。
こうしておけば、ライブラリーの中央「アーティスト名」のところに「コンピレーション」の項目が現れる。CDDBのせいかコンピレーションとして販売されていないCDもこの項目に分類されてしまうことがあるのはご愛敬だが、たくさんの曲をリッピングしてライブラリーが混雑している人には試して欲しい。
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