『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド デジタル修復版』 監督:ジョージ・A・ロメロ/出演:ジュディス・オディア他 |
本家本元のロメロ監督が最初に手掛けたのは、1968年製作の『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。この作品が“ゾンビ映画”というジャンルを確立させ、後のホラー映画に多大な影響を与えました。映画史に残る傑作として、オリジナルフィルムがスミソニアン博物館に展示されているそう。 ある夏の夜、墓参りを終えた兄妹を突然ゾンビが襲ってきます。妹は一軒家に逃げ込みますが、その周囲にはゾンビが続々と集結。ゾンビに立ち向かう人間たち。しかし、自分の身を守るために人間同士が仲間割れを起こし、悲惨な結末に……。この作品には「なぜ人は人を殺すのか」「人間は死んでも欲望から逃れられないのか」というロメロ監督の哲学的なメッセージが込められています。 近年のゾンビ映画に比べると物語は淡々と進みますが、全体を覆い尽くす絶望感は圧巻。背筋がゾクリと寒くなり、一人で観ていると思わず家中の鍵を確認したくなるかも。 |
『ゾンビ 米国劇場公開版 GEORGE A ROMERO’S DAWN OF THE DEAD ZOMBIE』 監督:ジョージ・A・ロメロ/出演:デビット・エンゲ他 |
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』から10年を経て、ロメロ監督が発表した『ゾンビ』(1978年。原題は『DAWN OF THE DEAD』)。ゾンビ対人間の死闘、ゾンビが人間を襲って生肉を貪る地獄絵は、当時の観客を震撼させました。 ある朝突然、原因不明のまま死者が蘇り、人間を襲い始めます。街中がパニックに陥り、襲われた人間はゾンビと化して増殖していきます。テレビ局員のスティーブンは恋人を連れ、SWAT隊員と共にヘリコプターで街から脱出します。夜明けに巨大なショッピングセンターに降り立ったスティーブンたち。ゲートを封鎖してショッピングモール内に立てこもりますが、ショッピングセンターを取り囲むようにゾンビが集まってきて・・・。 ショッピングセンターという日常的な空間が戦場となり、人間の心の中に潜んでいるエゴや欲望を映し出した『ゾンビ』。アクションホラーの傑作として、語り継がれる本作品。リメイク版の『ドーン・オブ・ザ・デッド』とぜひ見比べてみてください。 |
『死霊のえじき 完全版』 監督:ジョージ・A・ロメロ/出演:ロリー・カーディル他 |
1985年公開の『死霊のえじき』(原題『DAY OF THE DEAD』)は、ロメロ監督のゾンビ三部作の最終章と言われていました。最新作『ランド・オブ・ザ・デッド』につながるこの作品は、抑えておいた方がいいかもしれません。『死霊のえじき 完全版』は、デジタルニューマスターのノーカット完全版。さらにドキュメンタリー「The Many Days of DAY OF THE DEAD」とオリジナル脚本(日本語翻訳版)などが特典として収録されています。 死者が蘇り、人間を襲い始めてから数年後、地上から人間の姿は消えていました。人間は地下基地に潜み、生き残るための手段を探し続けていました。科学者は死者のゾンビ化を防止する方法や、ゾンビを飼い慣らす方法を研究していました。しかし、実験中のゾンビをめぐり、人間同士が殺しあうという悲劇がおこってしまいます。 生者と死者の数が完全に逆転し、ゾンビで埋め尽くされている世界で、数少ない人間はどう生きのびるのか。ロメロ監督はここで「死んだ人間よりも生きている人間の恐ろしさ」を描きました。また、『死霊のえじき』に登場するゾンビは、数あるホラー作品の中でも最高の特殊メイクが施され、最もおぞましいゾンビ。『ランド・オブ・ザ・デッド』の最新鋭の技術と、『死霊のえじき』の職人芸の特殊メイクを比較して見るのもおもしろいかもしれません。 このように、ロメロ監督のゾンビ三部作には、一貫してタイトルに時間変化が入っていました。夜(night)に発生し、夜明け(dawn)に群がり、昼間(day)に人類が死滅する……。ロメロ監督が新たにゾンビ映画を撮るとニュースが入った時、「夕闇(Twilight)がタイトルに付くのでは?」といった憶測が流れましたが、完成した作品は『ランド・オブ・ザ・デッド』。ゾンビ三部作とは一線を画すものなのか、新たなシリーズの幕開けなのか、それは映画を観てのお楽しみ。 なお、ロメロ・ゾンビ三部作は、古い作品ゆえ、かつ込み入った事情によりさまざまなバージョンが存在しますが、現在入手可能なDVDの中からご紹介させていただきました。 |
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