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次世代DVD統一規格は断念か?

» 2005年08月24日 09時39分 公開
[IDG Japan]
IDG

 HD DVDとBlu-ray Discの次世代DVD規格戦争は、避けられないものになりつつあるようだ。妥協案を見出すプロセスは、急速に時間切れに近づいている。両規格の支持者らは、妥協案を見出せば業界全体に恩恵がもたらされるという点で意見が一致しているが、交渉は行き詰まっており、HD DVD支持者が商品化のスケジュールに間に合わせるには、間もなく製品の最終設計と開発を始めなければならない。

 両規格とも現行DVDよりもかなり大きなデータを格納でき、DVDに代わる高精細映画コンテンツのための規格と宣伝されている。

 HD DVD支持者は2005年末までに製品を市場に投入すると約束してきた。設計開始から製品を市場に投入するまで、通常は2〜3カ月かかる。年末まで4カ月しか残されていないため、交渉の時間はあまりない。もっと待てば、Blu-ray Discに市場を開放することになる。

 「われわれのスタンスは変わらない」とHD DVDの主要支持者の1社である東芝の広報担当ジュンコ・フルタ氏は語る。「われわれは単一のフォーマットがベストであると考えており、まだ議論を受け入れるつもりだ」と同氏は8月23日に語った。

 Blu-ray Discの主な支持者であるソニーも、交渉に前向きだと同社広報担当の高嶺太郎氏。同氏は、Blu-ray Disc陣営のスタンスは変わっていないとし、依然として同規格は家電、コンピュータゲーム、PCデータストレージ市場の将来のニーズにとってベストだと考えていると語った。

 規格戦争――すべての関係者が、IT業界および家電業界全体の利益に反すると認めている――が起きるという予想は、Blu-ray Discが発表されてから数カ月後の2002年後半ごろ、東芝とNECが独自フォーマット(同時は「Advanced Optical Disc」と呼ばれていた)をDVD Forumに提案した時からあった。

 しかし両規格の戦いがより本格化したのは今年に入ってからだ。4月に両陣営間で交渉が行われたが、物別れに終わった。

 6月28日の記者会見で、東芝の西田厚聰新社長は「積極的に統合する必要がある」と再度交渉を呼びかけた。

 しかし現時点では双方の間で何ら話し合いは行われていないと東芝のフルタ氏は語った。読売新聞は23日に、双方の幹部は妥協案を断念したと報じた。

 このような規格戦争が起きたときに損をするのは消費者だけではない。消費者の買い控えにより機器メーカーも売上低下に苦しむことになりそうだ。映画会社などのコンテンツ制作者も、需要の低下で損をする可能性が高い。

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