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投写距離26センチで60型画面──NECビューテクノロジー「WT615J」

» 2005年10月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 今回紹介するDLPTMプロジェクターの中で、最も個性的な製品といえるのが、NECビューテクノロジーの「WT615J」だ。通常のプロジェクターでは、投映した映像を複数枚の投写レンズへ通すことで拡大を行っている。それに対し、この「WT615J」では向かい合うように配置したミラーの間を、投映光が順次反射していく構造だ。これにより、群を抜いた短焦点での投写を実現し、60型画面を映し出すために必要な距離はたった26センチとなっている。

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 動作状態の本体は、まるでプリンタのようにも見えるが、実はこれこそが投映用のミラーのうちの1枚であり、「WT615J」には、大小合わせて4枚のミラーが内蔵され、映像を画面へと運んでいる。

 もちろん、単純にミラーを組み合わせただけで、短焦点投映が可能なわけではない。実現に不可欠だったのが、光学メーカーのフジノンと共同開発した「非球面ミラー」、そして、ほかならぬ「単板DMDチップ」である。

 短焦点で一定レベルの画面サイズを確保するためには、画像の打ち上げ角度をかなり大きくしなければならない。しかし、通常のレンズ投写方式であれば、曲率のきつい(大口径かつ分厚い)レンズを要するため、本体のサイズ・重量がかなりのものとなってしまう。きわめて高精度な成型技術により開発された非球面ミラーは、この曲率のきつい大口径レンズの役割を果たしつつ、歪曲も最小限に抑えているわけだ。

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 また、光学設計を単純化できる単板DMDだからこそ、複雑になりかねない短焦点投写を容易にし、本体サイズやコストの削減にも大きく貢献している。本体のサイズは、幅380×高さ227×奥行き296ミリで、質量も約6.4キロと比較的軽い。

 パネルにはアスペクト比4:3の0.7型DMDを採用し、画素数は1024×768ピクセル(XGA)。NEC独自のアドバンスド・アキュブレンド機能により、文字欠けや線欠けのない品質を保ちながら、最大1600×1200ピクセル(UXGA)まで表示可能だ。入力可能な走査周波数は、水平15〜100KHz(RGB入力時は24KHz以上)、垂直48〜120Hzとなっている。

 アドバンスド・アキュブレンドとは、水平/垂直の入力ピクセル数を最大1024倍に広げて演算を行う解像度変換アルゴリズム「アキュブレンド(AccuBlend)」を改良した技術だ。具体的には、補間ドットの演算方法を非線型としてエッジ部のボケを改善するとともに、圧縮比を垂直・水平独立にドット単位に設定可能にして、より滑らかな補正を行っている。そのため、解像度を疑似的に高くしても、文字欠けや横方向の罫線切れが最小限に抑えられ、見やすい映像を提供できる。

 全白/全黒でのコントラスト比は3500:1と非常に高く、また明るさに関しては2000ルーメンとなる。ただし、この短焦点ミラー投写型プロジェクターでは急角度で投映されるため、測定器をスクリーンと平行に配置するJIS規格に沿った測定方法では、光全体が取り込めず、実際の明るさよりも大幅に低い数値が出てしまうという。そのため、NECビューテクノロジーでは、光軸に対して垂直に配置した測定器を用い、その計測値をアウトプットルーメンという独自の表現で併記している。「WT615J」の場合は、3500アウトプットルーメンとなる。

 入力端子類は(投映方向に向かって)左側面に配置されている。PC接続に必要なDVI-I×1、COMPUTER(アナログRGB・ミニDsub15ピン)×1のほか、ビデオ映像も入力できるよう、S-VIDEOとVIDEO(コンポジット)も1基ずつ装備済み。DVI-IとCOMPUTERは、別途ケーブルを用意することで、コンポーネント映像入力としても利用可能だ。また、各々の映像入力端子に対して、音声入力端子も用意されている(DVI-IとCOMPUTERはステレオミニジャック、S-VIDEO/VIDEOは兼用でステレオRCAピン)。しかも、一般的なプロジェクターとは異なり、本体の後方からスクリーンを眺めるというスタイルを活用し、内蔵スピーカーはステレオ構成だ。

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 短焦点という特長を持つ「WT615J」は、ビジネス用途はもちろん、特に教育現場での引き合いが多いという。スクリーンを黒板に取り付ければ、プロジェクター本体を教壇上に置けるため、設置はかなり容易になる。さらに、生徒が誤って投写光を直接見てしまう不安がないのも、教室への導入に際しては大きな優位点となりうる。

 また、ミラー投写型プロジェクターの初代モデル「WT600J」や、スタンダードモデル「WT610J」にはないユニークな機能が、「WT615J」には採用された。それは電子ホワイトボード機能だ。付属の電子ペンを利用して、投映されたPC画面上でマウスと同様に操作したり、投映画面へ直接描きこみができる。電子ペンの位置は、プロジェクター側に内蔵されたセンサー(超音波と赤外線を併用)で読み取りを行う。スクリーンと本体との距離がきわめて近い、短焦点方式ならではの特長を生かした機能といえるだろう。

photo 付属の電子ペンを利用して、マウスと同様に操作したり、画面へ描きこみができる。

 「WT615J」単体では、「お手軽電子ボード機能」により、投映画面に“直接”手書きの文字や図形を書き込むことができる。凝った描画機能はないが、ペンの太さや描画色を変えたり、四角(枠/塗り)の描画くらいならこなせる。書き込んだ内容は4ページ分まで記憶され、さらに「キャプチャ」コマンドを実行すれば、現在表示されている画面(投映しているPCやビデオの映像へ、書き込んだ文字や図形を重ねて)をプロジェクター側のPCカードスロット内のメモリカードへ保存可能だ。

 電子ペンをPCのマウスとして使うには、プロジェクター本体とPCをUSBケーブルで接続し、Pen2Mouseドライバをインストールすればいい。ペン先のスイッチがマウス左ボタン、グリップ部分のAボタンがマウス右ボタンとして動作する。

 また、PCへeBeam Interactiveソフトウェア(Windows XP/2000対応)をインストールすれば、多彩な電子ホワイトボード機能が提供される。まるで大きなタブレット上で描いているような感覚で、PCのデスクトップ(あるいはアプリケーション)画面上に手書きで文字や図形を描きこめ、マウスとしても操作ができるのだ。

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 ペンの太さや描画色の変更はもちろんのこと、半透明のマーカーや図形描画といった便利な機能も備わっている。ワンタッチでペン機能とマウス機能を切り替えられるので、快適な操作が行える。描きこんだ画像はファイルとして保存できるほか、PowerPointのスライドショー実行時にはPowerPointオブジェクトとして保存・編集が可能である。

 「WT615J」では、その独特なスタイルに目が行きがちだが、ミラー投写は決して奇抜な機構ではなく、短焦点を実現するには理にかなった方式といえる。通常のプロジェクターが苦手とする、展示会の狭いブースやミーティングコーナーで力を発揮できるうえ、電子ペンはさまざまな場面で活用可能だ。前述のとおり、教育現場にも適しているが、ビジネスプレゼンテーションにおいても大いに注目を浴びるに違いない。

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提供:NECビューテクノロジー株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日