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徹底した高画質へのこだわり──三菱ホームプロジェクター「LVP-HC3000/HC910」

» 2005年10月01日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 三菱電機とプロジェクターは切っても切れない縁。そう言い切れるほど、三菱電機は家庭向け高画質プロジェクターでは名を馳せた存在だ。国内メーカーとして最後まで家庭向け三管式プロジェクター「LVP-2001」を販売し続け、さらにLVP-2001の高画質化キットとして「P-2001」を発売するなど、”ホームシアター用”にこだわった製品作りは、現在の同社製DLPTMプロジェクターにも引き継がれている。

 その同社も初の固定画素プロジェクターは外部調達で販売してきたが、昨年の「LVP-HC900J」で自社開発製品へと移行。さらに今年になってからは、ローエンドの「LVP-HC100J」、赤の色再現や静粛性向上を果たした「LVP-HC910」、そしてWXGA対応パネルをいち早く採用した「LVP-HC3000」と、本格的なラインアップ作りのフェーズへと入ってきた。

photo 赤の色再現や静粛性を向上させた「LVP-HC910」(左)と、WXGA対応パネル採用の「LVP-HC3000」(右)

 加えて見逃せないのが、こうした家庭向け高画質プロジェクターのノウハウをデータ用プロジェクターにも生かしている点だ。同社のデータプロジェクターはマルチメディア対応をうたい、明るさ優先のデータプロジェクターでありながら写真や映像の鑑賞にも耐える製品作りをしているという。

“画質を徹底的に比べて欲しい”

 上記のようなこだわりの家庭向けプロジェクターを担当してきたのは、三菱電機京都製作所ホームシアター営業課長の佐藤岳氏だ。同氏は三管時代から一貫して三菱電機製プロジェクターに関わってきた。

 その佐藤氏は新しい三菱電機のDLPTMプロジェクターに関して「我々の製品には残念ながら3つの“不便”があります。まず投射距離が長い。次にズーム比が少ない。それにレンズシフトもない。設置性に関しては良い評価は得られない事は自覚しています。しかしそれを超えるだけの画質的な魅力がある。画質至上主義と言ってもいい。出てくる絵で評価してもらえれば、我々の製品を選んでもらえると思います」と話す。

 他社調達だった「LVP-D1208」「LVP-D2010」では、三菱電機なりの絵作りは行ったものの、あくまでもカスタマイズの範疇だった。しかし型番に”HC”が入ってからは、コントラストと切れ味に優れたオールガラス製のレンズや映像回路、パネル制御回路の設定や設計を自社で行う事で、さらに“三菱の画質”を追求した。

 三菱の画質とは何か? それは「三管プロジェクターが持っていたまったり感と滑らかな階調(佐藤氏)」だという。シャープネスを上げすぎず、固定画素のカリカリとした質感を目立たせない。そして連続的な色相の変化に対して滑らかに追従する。

 新製品のLVP-HC910を見ていると、その丁寧な階調の描き分けと神経質なところを感じさせない適度なシャープネス、それにクドさを感じさせない程度に良好な色ノリなど、確かにメーカー自身の手による“作り込み”を感じさせる、一種の製品に対する安心感、信頼感のようなものを感じる。

photo メーカー自身の手による“作り込み”を感じさせるLVP-HC910

階調性と赤の再現にこだわった新シリーズ

 こうした三菱電機ならではの画質を支えているのは、階調性重視の設定と赤再現にこだわったカラーホイールの選択、それにフル10ビット映像処理+12ビットフローティングポイント演算によるデジタルガンマ補正だ。

 階調性の面ではカラーブレイク重視の5倍速ではなく、あえて4倍速を採用。「4倍でも5倍でも見える人には見える」(佐藤氏)ため、階調が滑らかになる4倍速とし、カラーブレイクが目立たないようガンマカーブを最適化している。

 単板DLPTM特有のカラーブレーキングは、特に白い字幕や強く差し込むハイライトの表現で見えやすい。字幕や映画の絵作りで使われる輝度レンジを意識し、経験から最適なカーブを与えることで、全体の絵を壊さずにカラーブレイクを最小限に抑える。

 さらにカラーホイールのRパートにおける色純度を上げ、高圧水銀ランプで不足する赤成分も鮮やかに描き出す。通常、高圧水銀ランプを用いたDLPTMでは彩度を保ったまま深い赤を再現しようとしても再現しきれず、朱色方向に色がブレたり、あるいは深さを出そうとする余り明るさが出せず赤黒くなるといった問題が出てしまう。赤のフィルターをどの色にするかは、開発においてもっとも気を払ったところだという。

 以上はLVP-HC910とLVP-HC3000に共通する特徴だが、加えてWXGAパネル採用の上位機であるLVP-HC3000では最新の映像処理・DMD駆動チップであるDDP3020を他社に先駆けて採用。DDP3020は処理用ワークメモリが大幅に高速化されており、12ビットフローティングポイント演算によるデジタルガンマ補正が可能になった上、映像処理のパイプラインすべての10ビット化も可能になった。

photo WXGAパネル採用の上位機であるLVP-HC3000

 これらの効果は十分に画質へと表れており、LVP-HC910に比べ画素が増えたWXGAパネルの効果もあって、特に暗部における階調の描き分けが正確になり、近年の映画ソースで特に増えているローライトシーンでの見通しの良さがグッと良くなっている。16:9の映像を投影する場合は1280×720ピクセル、つまり720P分の画素しか利用しないが、同じ画素数を持つ他のDLPTMと比較し、NDグリーンパートを持つ製品と比べても、暗部表現における遜色がない。

 佐藤氏によると「ガンマ演算制度が高まった事で階調性が改善されたのが原因」との事だが、このサイズと価格でここまでの階調表現が行えれば文句なしといったところだ。スペック上の4000:1というコントラストは、最暗部をグググッと沈めるが、そこから高輝度部分にかけての階調があってこそ、高コントラストも生きるというものだ。

photo

 LVP-HC3000の絵作りは発売に向けてさらに煮詰めていくとの事だが、現時点でもその実力の一端はうかがえる。「画質だけの評価で、設置における不便さもカバーできる」と自信を持つだけの仕上がりにはなりそうだ。

DLPらしさと三菱らしさ

 佐藤氏はDLPTMと三菱電機のプロジェクターの関係について「三管時代が終わった後、液晶プロジェクターなどにも取り組んできましたが、細やかなチューニングを行っても、パネルのムラやバラツキでなかなか製品の力へとつなげにくかったのです。しかしDLPTMは圧倒的に品質の管理が行いやすく、練りに練った絵をそのまま顧客に届けることができる。これは大きなメリットでもあり、メーカーとしての安心感でもあります」と語る。

 こうした家庭向けDLPTMベンダーとしての画質に対する取り組みやノウハウの蓄積は、製品にも確実に反映されている。データプロジェクターの新製品「LVP-XD110」および「LVP-SD110」は、いずれも2.4キロと軽量ながら1600ルーメンの明るさと2000:1のコントラスト比を実現した。

photo データプロジェクターの新製品「LVP-XD110」(左)と「LVP-SD110」(右)

 また、4000時間というランプの長寿命化も、データ用での長所のひとつだ。1080iまでのコンポーネント映像入力にも対応し、シネマモードも備えるなど、プレゼンの中に自然画や映像を挟みたい場合にも、高画質での投影が可能となっている。

 こうした特定用途だけに特化していないシナジー効果、画質へのこだわりがもたらす好影響も、三菱らしさ、そして品質のコントロールが容易なDLPTMらしさと言えるのかもしれない。

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提供:三菱電機株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年11月30日