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デジタル家電の進化をドライブする3つのキーワード――松下電器CEATEC JAPAN 2005(1/2 ページ)

» 2005年10月05日 16時23分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 「CEATEC JAPAN 2005」開幕2日目となる10月5日、基調講演を行ったのは松下電器産業デジタルネットワーク・ソフトウェア担当役員の津賀一宏氏だ。松下電器がデジタル家電分野のブランドスローガンとして掲げる「3D Value Chain」を解説した上で、新たに3つのキーワードを用いて進化の方向性を示した。

photo 松下電器産業デジタルネットワーク・ソフトウェア担当役員の津賀一宏氏

 松下といえば「ideas for life」というスローガンも有名だが、津賀氏によると20世紀から21世紀への移り変わりの中で、ユーザーの価値観にも変化が現れているという。「20世紀は、家事労働の軽減、便利な暮らし、そして自由時間を作り出すことが家電に求められていた。しかし、21世紀は“負荷のない暮らし”“それぞれの要望にあった生活”“満足感や充実感を生み出す”といった新しい価値観が生まれている。3D Value Chainは、こうしたパラダイムシフトに対応したスローガン」。

 3D Value Chainの“3D”は、「DTV」「DVD」「SD」を指す。この3つに注力し、単品でそれぞれグローバルなNo.1を目指しながら、各機器を結ぶバリューチェーンを構築するというのが主旨だ。津賀氏は、フルHD対応の65V型までをラインアップにくわえた薄型テレビ「VIERA」、ハイビジョン録画を取り込んだDVDレコーダー「DIGA」、そして新機軸となるSDマルチカメラ「SDR-S100/S300」などを次々に紹介し、自社の技術をアピールした。

photo SDメモリーカードに高画質なMPEG-2映像を記録できるビデオカメラ“SDカードムービー”「SDR-S100/S300」

 「これまでのデジタル家電は、放送や携帯電話のデジタル化などインフラの発展とともに進化してきた。これからは、ユビキタスネットワークにより、デジタル家電をいかに発展させるかがポイント。中でも“フルHD化”“ユニバーサルデザイン”“コンテンツディストリビューション”という3つが進化軸になるだろう」。

 フルHDに関しては、CEATECの同社ブースで新たに50V型のフルHD対応PDPを参考出展するなど、VIERAを牽引役として進行している。記録メディアのBlu-ray Discについても、製造過程を記録したビデオを見せながらスピンコート法や回転UV硬化法による歩留まりの改善と多層化の可能性を解説。「現在は4層の開発に力を入れているところ。理論的には8層200Gバイトまで対応できる」とした。

photo CEATECの同社ブースで展示した12.7ミリ厚のスリムなBlu-ray/DVDドライブ。9.5ミリ厚の次世代スリムドライブも開発が始まっているという

 さらに、2001年に開設した「パナソニックハリウッド研究所」などを通じて次世代コーデック「H.264」も研究中だ。「いかにうまく映像を圧縮するかが課題になるが、研究所内では16Mbpsという低ビットレートでも“原画と区別がつかない”と評価されている。そのノウハウをUniPhierに入れ込む」。

 UniPhierは、松下が開発を進めているデジタル家電用の統合プラットフォームだ。そのシステムLSIを搭載した製品の第1弾が「SDR-S100/S300」であり、第2弾がCEATECで公開した1セグ放送対応携帯電話となる。さらに「DIGAやBlu-ray DIGAへの採用も進んでいる」。

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