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ウォークマンの未来(後編)インタビュー(1/3 ページ)

» 2005年10月24日 01時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 カセットテープやCD、MDを使わないウォークマンとしては、“ウォークマンスティック”(NW-E4xx/5xxなどのEシリーズ)が記憶に新しいが、デジタルオーディオプレーヤーとしての「ウォークマン」の歴史は意外なほどに古い。1999年7月には“メモリースティック ウォークマン”「NW-MS7」が登場しており、iPodより2年先行してこの市場に参入していたことになる(初代iPodは2001年11月発表)。

photo 1999年7月に発表された“メモリースティック ウォークマン”「NW-MS7」

 2004年4月に販売開始されたウォークマンスティックは、一時は店頭から消えるほどのスマッシュヒットになったが、同社ではあえて新商品にこの名称を用いず、カセットテープ時代の名称であり、ポータブルオーディオプレーヤーの代名詞ともなった「ウォークマン」としてAシリーズを投入する。

 前回に引き続きコネクトカンパニー 商品企画部 統括部長の長島利通氏へ、今回は「ウォークマン」の未来について話を聞いた。

photo コネクトカンパニー 商品企画部 統括部長の長島利通氏

「本家本元」として負けられない

長島氏:結果としてEシリーズのようなシンプルな製品がラインアップに残るかもしれませんが、これから提案していくメイン製品はAシリーズです。それはAシリーズが「コネクト」の考え方に沿った製品だからです。

 A&Vフェスタ2005、あるいはCEATEC JAPAN 2005でも来場頂いた方にはお話ししましたが、EシリーズでもAシリーズでも「1000曲がストックできますよ」という部分は同じです。しかし、インテリジェントシャッフルなどを利用した音楽との出会いという楽しみを提案できるのはAシリーズだけですから。

――Eシリーズはこれまで私たちが認識していたポータブルオーディオプレーヤー、Aシリーズは「コネクト」という考え方なりビジョンを楽しむためのプレーヤーだということは理解できます。しかし、Aシリーズはライブラリーソフトも「SonicStage」から「CONNECT Player」に変更されています。

 プレーヤー本体を交換することはあっても、多ければ数千曲以上もの楽曲を管理するソフトをそう簡単にユーザーが乗り換えることは想像がしにくいです。PCと接続して利用しなければならないという製品の性質を考えても、Aシリーズをメインとして据えることは、ユーザーへ“非連続感”を与えてしまうのではないでしょうか。

長島氏:SonicStageは熟成が進み、良くできているライブラリーソフトですので、CONNECT Playerの投入は1つの大きな決断であったと考えています。ですが、コネクトというビジョンを具体的な形として提供するには、対応したライブラリーソフトとプレーヤーの両方を用意することが必要だったのです。

 SonicStageとCONNECT Playerが非連続の関係となってしまってはユーザーの利便性を損ねることになりますから、移行する際にはHDD内のライブラリーをそのままインポートできたり、操作感も可能な限りプレーンなものにするなどして、SonicStageから移行したとしてもストレスを感じないよう、最大限の配慮をしたつもりです。(CONNECT Playerの)無償配布も検討しています。

photo CONNECT Player。Windowsソフトの標準的な操作感覚を実現したという。転送についてもSonicStage型の左画面→右画面と、iTunes型のドラッグ&ドロップという2つの画面インタフェースを用意した

――アップルのハードウェアをどのように評価されますか?

長島氏:痛い質問ですね(笑)。iPod nanoは“より薄く、より軽く”となっていますし、ビデオについても元来はソニーが得意としてきた領域ですから。いままでソニーがやってきた物作りの方向性を、非常にスピーディーに展開しているという意味では非常に感心しています。

 ただ、「本家本元」としてはiPodを上回る製品をぜひとも登場させたいと思っていますし、実現するための要素も揃っています。小型軽量化や映像に関するに関するノウハウはありますし、スタミナ(フラッシュメモリタイプのNW-A6xxは最大約50時間の連続再生が行えるほか、3分の充電で約3時間の利用が可能)という強みも持っています。私たちの強みを伸ばしながら、取り組んでいきたいですね。

ビデオへのiPodのアプローチは、「ある意味正解」

――アップルは動画再生機能を持った第5世代iPodを発表しましたが、あくまでも基本は音楽再生機能であり、動画再生はミュージックビデオなど音楽に関連したコンテンツを楽しむための付加的な機能だと主張しています(関連記事1関連記事2)。動画への対応についてどのように考えていますか?

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