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CEATECでわかった映像のトレンド麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/4 ページ)

» 2005年10月31日 23時46分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 主役不在と前評判でささやかれた今年のCEATECだが、フタを開けてみればSEDの大量展示に驚き、フルHDの競演に胸踊り、今年も繰り広げられた次世代DVDの熱いバトルに興奮するなど、アジア最大級となる“エレクトロニクスの祭典”は、今回も大いに盛り上がった。

 今回の「デジタル閻魔帳」は、CEATECではさまざまな講演/セミナーに引っ張りだこだったオーディオビジュアル評論家の麻倉怜士氏に、「CEATECでわかった映像のトレンド」というテーマで、映像分野の最新動向について語ってもらった。

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――今年のCEATECのポイントを挙げてください。

麻倉氏: 今回のCEATECでは3つのポイントがありました。すべてのディスプレイでフルHDが揃ったという「フルHDの競演」、解像度だけでなく画質そのものにもメスが入ったという「画質改善」そして昨年から続いている「次世代DVDの競演」です。

――ではまず、フルHDの動向について教えてください。

麻倉氏: パイオニアと松下がプラズマで50インチのフルHDを出しました。そしてプラズマ陣営は、42インチまでをフルHD化の視野に入れています。いずれにしても、早い時期にフルHD化が完了しそうな勢い。液晶のフルHDは、後に開催された横浜のFPD Internationalでサムスン電子からすでに32インチの試作機が登場しています。ここまでのフルHDは、特別な高解像度ディスプレイというイメージでしたが、プラズマ・液晶ともに主力サイズでフルHDを用意してきているということで、今後は一気にフルHDが大衆化に向かっていることが確認できました。

フルHD化で加速する「プラズマ」

――プラズマは主力サイズでのフルHD化が困難と言われてましたよね。

麻倉氏: そうですね。その意味でも、松下とパイオニアが出した50インチのフルHDプラズマは画期的です。松下の関係者に聞いたところでは、この50インチの開発は、CEATECの直前にギリギリ間に合ったという“駆け込み展示”だったようです。パナソニックの底力を感じますね。

 先日、松下がすでに発表している65V型フルHDプラズマの取材をしたのですが、65V型の開発がスタートしたのが今年の1月で、試作機ができたのが今年3月という、異様に早いペースで作られたそうです。画質設計でのベースがあるのに加え、パネル技術ではいかに安定的/効率的に発光させるかという開発をしてきたので、その技術が画素を細かくしなければいけないフルHD化にも生かされたという話でした。

 松下は65インチですでに商品化してますが、本命はやはり50インチ台。今回のCEATECでは50インチが登場しましたが、50と60の間のサイズも出すと私はみています。65を頂点として、50、50〜60インチの“フルHD 3兄弟”でいくのではないでしょうか。宿命のライバルであるシャープとすべての分野で対抗するという戦略的な目論見もありますね。

photo 松下が展示した50インチのフルHDプラズマ

 50インチというのは、ハイビジョンにとって標準的なサイズ。NHKがハイビジョンを開発したときも「50〜55インチを壁掛けに」というのをターゲットにしていました。画質の良いプラズマでフルHDの50インチが出てきたというのが、次世代を予感させます。

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