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賢くお金を儲けたい人のための「ITmediaの歩き方」第4回

» 2005年11月18日 00時00分 公開
[ITmedia]
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 オンライントレードの発達で、個人投資家の中にもプロ顔負けの手口を使って金融取引で売買益を上げている人たちが増えている。先物為替取引などでフォワードと現物の理論値の乖離を計算し、金利裁定取引などでアービトレージ(さや取り)を行っているなんてのが、その良い例だ。数千万円レベルではお話にならないから、こういう人たちは数十億円レベルで売買している。こうなるともうプロである。

 一方、デイトレードという売買手法も、日本に定着し始めてきた。残念ながら毎日の株価変動のトレンドを読んで着実にさやを抜く本格的なデイトレーダーはまだまだ少なく、上がりそうな株に狙いを付けて、上がったらすばやく売る、下がったらさっさと手仕舞うスキャルピング(小すくい商い)が中心だが、世界的な市場の好調さに支えられてか彼らにも儲けを出している人が少なくないようである(日計り商いはするな、は今も生きている格言と思うが……)。

 もっともこうした“本格派”になると、もう仕事そっちのけで取り組まざる得ない。筆者の今のオフィスは東京・丸の内にあるが、近所のオンライン証券の店舗を通りかかると、いつ行ってもいる20代と思しき若者がいる。本業は知らないが、そんな状態で大丈夫なのか、こっちのほうが心配になる。

 金融が専門ではないITmediaの各サイトでは、“数理の力”を使って儲けているようなプロフェッショナルな人たちのお役には立つような情報は流していない。また、国内の事件(イベント)をお伝えはしているが、何千人もの記者を抱える経済紙などには太刀打ちできない。せいぜいがスキャルピングのお手伝いをするぐらいだろう。ロング(買い)はもちろんショートセリング(空売り)も、後から提灯をつける人の儲けは小さく、リスクは高い。こうした商いに、ITmediaを利用することは、あんまりオススメしたくない。

 ではITmediaを使って上手にマネーを増やすには、どんなやりかたが賢いのだろうか?

 1つはIT関連銘柄の新規上場や増資などによる株価の変化を読む材料にすることである。ITmediaでは記事の取り扱いに上場・非上場の区別を付けていない。面白い企業であれば非上場のベンチャー企業であっても、記事としてたくさん取り上げている。

 この際、基本的に“面白さ”で取り上げているのだが、記者も人である。「この会社は大丈夫かなー」という目は働かせており、それが行間に現れてくる。トラブった企業の記事もたくさん取り上げられるのは当然として、良さそう、という企業の記事も自然と増える。

 行間を読み、記事数を調べれば、ITmediaの記者がその会社をどう思っているか本音の部分が透けてくるのである(実は記事取り扱いの際、申告の通知が社内で流れるのだが、そこには一言コメントが付いていることが良くある。「A社が***億円、公募増資へ」というタイトルの後に、「そりゃなんぼなんでも無理だろー」といった具合だ。お見せできないのが残念だが、これがけっこう的確に市場の判断を先取りしていて面白い)。

 ここ最近は市場の地合いが良いこともあって新規公開株は軒並み上昇しているが、それでも企業ごとの上昇幅には大きな差がある。まずその判断に役立てることができる。さらに言えば、人気の出た新規公開株は入手が困難だが、公開直後には利益確定の売りが出て、ほとんどの企業で株価が下がる時期が必ずある。

 その時、買うべきか(買い増すべきか)は企業のパフォーマンス、さらには成長性や、社長が本業そっちのけで変なことに手を出さないか、といったことが重要になる。ITmediaは専門媒体なので、日経あたりが拾わない細かい情報も流している。目をつけた企業でそれを時系列的に追っておくと、そのあたりが見えてくるだろう。

 2つめは外国株投資だ。もちろん経済紙の夕刊にも外国株の動きが出るし、TVなどでも最近は取り扱うところが増えたが、いずれも短いコメントレベルである。ITmediaではダウジョーンズ(ウォールストリートジャーナル)やロイターなどとも特約を結んでいて、それぞれ国内配信の記事ではなく、米国の記事を直接選んで自前で翻訳している。また、IT系専門媒体の記事も扱っている。

 だから決算のアウトルックやアナリストの評価についても多様な米国記事を参照できる。M&Aなどの場合(特に敵対的買収などの場合)、経済紙のコメントとIT関係のアナリストの意見が全然食い違っていることも少なくない。このあたりをうまく統合させて、短期・中期の見通しを立てるのは、あなたの技量次第だ。

 3つめは、“後追いの速報”だ。国内大手経済紙では時々びっくりするようなニュースが流れるが、その場合、「A紙がこれこれの報道をした」という第一報を入れている間に、当該企業に事実関係の確認を取り、続報をできるだけ早く掲載するようにしている。「現時点で発表できることはない」といった“否定しない肯定”もあれば、「事実無根。困惑している」と真っ向から否定されることもある。特にIT系の専門的内容であればあるほど、幅広い分野を取材している“全国紙記者の先走り”であったりするケースも多く、“おっかけ記事”の意味が増すようだ。

 4つめは、ある程度の期間(数週間から数カ月)、IT関連株を買い持ちするようなスウィングトレーダーのための情報源である。専門記者が比較的長期に渡って1つの分野を担当するのも、専門媒体の特徴だ。各ベンダーは当然ながら自社の製品が「最善で最新」と訴えるが、よほどエンタープライズ寄りで自社で試せないようなもの以外、情報はいろいろ仕込んでいる。クライアントの評判などもそうだ。今どこが伸びて、どこが勢いを失いつつあるのか、といったことが、定期的に読んでいれば分かるようになっている。

 こうしたITmediaの情報と、証券などの金融専門媒体の情報を読み合わせていけば、自分のポートフォリオの中でなにをショート(売り)し、なにを新たに組み込めばよいかの判断も付きやすくなるだろう。

 次回で詳しく説明するが、MS Money 2006には充実したポートフォリオ機能があって、外国株や外貨口座などさまざまな金融商品を一覧できるようになっている。せわしないスキャルピンガーには無用かもしれないが、じっくり自分のポジションを検討し、最適なポートフォリオを作ろうとする投資家には、きっと役に立つことだろう。

これからのマネー管理ソフトに求められるものは?

 1998年の日本発売以来、MS Moneyは年々進化を遂げてきた。今回のMS Money 2006ではバックアップ機能や金融情報の表示方法などでブラッシュアップが行われている。それでは今後、MS Moneyはどこに向かおうとしているのだろうか?

 1回目に続き、マイクロソフトでホーム&リテール製品部シニアプロダクトマネージャを務める柏木淳氏に話を聞いた。

 「消費者のお金に対する意識はここ1〜2年で確実に変わってきました。電子マネーもいつ来るかな、と思っていましたが、進むスピードに若干のズレはあったものの、着実に根付きつつあります」

 「MS Moneyは家計簿ソフトとは違う異色のソフトで、これまでは啓蒙というか、理解してもらう部分に力を注いできました。それにはまず入力のところ、すなわち明細がダウンロードできるソフトという部分ですね、そこから入ってもらったわけです。まだ十分でないところもありますが、その部分での認知は進んだと思います」

 「その部分での次のステップは、ロボットが巡回してより簡便にアカウントアグリゲーションができるようにすること。ユーザーは履歴の確認や分析に集中できるよう、機能を向上させることですね」

 「その他の金融商品や証券口座などについても対応をもっと広げていきたい。電子マネーの明細なんかもそう。まだ案として考えているレベルですが、JR東日本がやっているSuicaとか、edyといった電子マネーがこれから普及してくる。これに対応させるとどうなるか、ということも考える必要がありうると思っています」

 「あとファイナンシャルプランナーの方によく言われるのがライフプランナーの部分です。実はこの機能、生涯設計もできる人生シミュレーターなどソフトとしてはしっかりできているんですよ。でもしっかり作りすぎていて、(人生シミュレーターでは)きちんとデータを埋めていかないと、50代の半ばから60代ぐらいで資産がマイナスになっちゃうんです(笑)。結構、大変です」

 「そこでこのライフプランニング機能のライト版のようなものを作ってほしいと言われることがあります。ライフプランナーの部分は残念ながら現在ではMS Moneyユーザーの中で比較的お使いになる人が少ないんです。しかし、ライフプランナーには住宅ローンの返済とか、子供の学資とか、ある目標を設定をして、それを達成するための中長期のシミュレーターもありますし、クレジットカードや各種ローンの返済計画を立てる借入返済プランナーもあります。この部分をもっと使いやすくし、よりライトに使えるようになれば、ということだと思っています」

 電子明細を取るという入り口から入って普及を進めてきたMS Money。今後は扱える金融商品をさらに増やしていくとともに、マネーに関する分析や計画立案に役立つソフトにする。それがマイクロソフトの目指すMS Money進化の方向ということのようだ。

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提供:マイクロソフト株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2005年12月31日