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今年お薦めの最新プロジェクター麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(1/4 ページ)

» 2005年12月02日 10時54分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 フロントプロジェクター(以下プロジェクター)市場が盛り上がりを見せている。

 プロジェクター新製品が出揃う年末は、もともと最大の商戦期ではあるが、今年はフルハイビジョン対応のハイエンドモデルで話題の新製品が登場したり、720P対応モデルではセイコーエプソンの新世代パネル「D5」を搭載した新製品が熟成の仕上がりを見せている。昨年から価格が急激に下がっているDLP機でも、コストパフォーマンスの非常に高い製品が液晶パネル製品群に真っ向勝負をかけている。

 製品選びに迷ったら、このヒトに聞こう!――というわけで、今回のデジタル閻魔帳は「お薦めの最新プロジェクター」がテーマ。すでに今年のプロジェクター新製品はほとんど徹底チェック済みというオーディオビジュアル・デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏に、最新プロジェクターのお薦めポイントを語ってもらった。

photo 撮影協力:ビックカメラ有楽町店

――今年のプロジェクター市場は、非常に盛り上がっているようですね。

麻倉氏 ええ、そうですね。それを実感したのは、先週末(11月26、27日)にアバックが開催した池袋サンシャインシティでのホームシアター大商談会でした。フルハイビジョンプロジェクターでのイベントと720Pの主要モデルが一堂に会してのシュートアウトを行ったのですが、今年は来場者の熱心さがまるで違いました。どのスクリーンの前も人垣ができ、私が行ったソニー製品の解説などは、驚くほど多数のユーザーが集まってきていました。満員になってもどうしても見たいという人が続出していました。

――盛り上がっている理由は、なんでしょうか?

麻倉氏 やはりフルハイビジョンのプロジェクターが100万円台前半にまで降りてきて、通常のハイエンドのプロジェクターのラインに入ってきたということがイチバンの要因ですね。プロジェクターに限りませんが、ハイエンド機がキチンと出てこないと、その下のラインの製品も動かないのです。720Pの液晶プロジェクター群が揃ってモデルチェンジしてきたことや、DLPで非常に魅力的な製品が登場してきたことも、購買意欲に結びついているのだと思います。今年はプロジェクターの“当たり年”ですね。

「フルハイビジョン」の新たな潮流

――注目は、やはりフルハイビジョンの新たな潮流ですね。

麻倉氏 フルハイビジョンの流れは、映像の世界で確実に拡大しています。液晶/プラズマなど直視型テレビの世界からフルハイビジョンが始まりましたが、1920×1080の高精細な情報量を本当に生かすなら、やはり大画面スクリーンを使うプロジェクターです。これは、日常的にQUALIA 004をずっと使っている私の実体験に基づく知見です。キセノンランプの素晴らしい色再現性ももちろんですが、フルハイビジョンならではの精彩さ・奥行き感はQUALIA 004の最大の魅力なのです。ダウンコンバータを介する720Pでは再現できないフルハイビジョンならではの“本物感”は、なにものにも変えがたいですね。

――その中でも、ホームシアターユーザーにとって衝撃的だったのは、SXRD&キセノンランプを搭載した“ミニQUALIA 004"ともいうべきソニー「VPL-VW100」ですね。

麻倉氏 今回、ハイエンド向けのフルハイビジョンプロジェクターとして、ソニー「VPL-VW100」と日本ビクター「DLA-HD12K」が同時期に出てきたのですが、先週のアバックのイベントでは、どちらの人気も非常に高かったですね。VW100は大売れをしたようですが、一方でVPL-VW100を観た上でDLA-HD12Kを指名買いするユーザーもいました。この2台は明らかに映像に違いがあります。その違いを踏まえた上で、ユーザーは自分の好みにあった製品を選んでいる。これは“映画を観る”という明確な目的があるプロジェクターならではのことですね。

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