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「P-TV」で「PSP」はパーソナルメディアに進化するインタビュー(2/2 ページ)

» 2005年12月05日 13時37分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 「まずは、オールジャンルで400タイトルを揃えました。来週(今週)には、さらに100タイトルを追加する予定です。今後もコンテンツの拡充を進め、来春には1000タイトルまで広げたいと考えています」

 「今後のコンテンツについては、“ネット配信ならでは”“PSPならでは”の可能性がいろいろとあると思います。たとえば“お笑い”のジャンルでは、吉本興業やトゥインクルコーポレーションが参加していますが、劇場単位やコント単位の配信など、ユニークな配信方法があります。音楽PVは、まずマドンナの楽曲でスタートしましたが、このようなコンテンツは、将来的に数千という規模を超えて“万”の単位になると思います。ほかにも、テレビ放送後にダウンロードが可能になるアニメ作品など、放送と連動したコンテンツも提供する計画です」

 「また、TVに出ている人(著名人)のロングインタビューですとか、独自性のあるコンテンツも増えていきます。実は、発表済みの参加企業26社のほかに、ミュージシャンやVJ、映像のコンポーザーといった個人クリエイターさんも何人か登録されています。今後は、法人、個人問わずに映像を配信していくといった、ポッドキャスティング的なスタイルも出てくるでしょう」

――映画に関してはいかがでしょう。現状では無料の予告編だけですが

 「映画は、権利関係の作業で時間がかかっているところですが、来春から本格的に増やしていきます。もちろん、(グループ会社の)ソニーピクチャーズに限らず、さまざまなスタジオの映画を扱います」

――コンテンツ料金や視聴期限など、配信条件に幅を持たせていますね

 「ええ。STB(セットトップボックス)向けのVoDサービスの中には価格統制されたものもありますが、P-TVの場合はコンテンツプロバイダー側で、かなり自由に設定できます。たとえば韓国ドラマやアニメは第1〜2話を無料としていて、気に入った場合は決済して続きを楽しんでもらうスタイルです。バンダイチャンネルさんのように、配信開始から1週間は無料で、その後は有料になるといったところもあります」

――映画の価格設定はどうなりますか? たとえば、既にUMDやDVDビデオでリリースされているコンテンツが、P-TVで配信される場合もあると思います

 「同じにはなりません。両者の違いは、P-TVが“お手軽レンタル型”、UMDやDVDは“パッケージ・永続型”という点です。バンダイチャンネルやソニーピクチャーズなど、UMDやDVDでビジネスを展開している所もP-TVに参加していますが、たとえばユーザーさんがP-TVでレンタルして、気に入った作品をDVDビデオで購入することもあるでしょう。いずれもパッケージビジネスを壊さない形ですみ分けが可能です」

――先ほどポッドキャスティングという言葉が出てきましたが、iPodと競合する場面も増えてきそうです。その際、PSP&P-TVの優位性は?

 「まず、高いクオリティで映像を見せるという点では、すべてPSPのほうが勝っています。画面サイズが大きく、画面品質が高いのはもちろんですが、コンテンツ側もPSPの解像度に合わせ、16:9のコンテンツはワイド画面で、しかもすべて業務用ソフトを使ってエンコードしています。ビットレートは平均1Mbps、ピーク時には4Mbpsまで上がりますから、映画のようなストレートな映像作品も快適に視聴できます。それから、内蔵無線LANを使って気軽にダウンロードできる点も挙げられます」

――映像を“持ち歩く”場合、PSPの大きな画面がネックになることはありませんか? たとえば電車の中などでは、他人の目も気になります

 「そうは思いません。たとえば、昔は電車の中で音楽を聴くことも同じように考えられていたと思います。携帯電話のメールなども同じでしょう。時間とともに人の考え方は変わっていくと思いますよ」

 「それと、“外”で視聴することにこだわってはいません。たとえば、われわれが子どもの頃は、自室でラジオを聞いたり、カセットをかけたりして楽しんでいました。それと同じように、今後はPSPがパーソナルなメディアになると思っています。『スゴ録』によるMPEG-4 AVCの録画機能や、ロケーションフリーといった環境も整ってきました。PSPはゲーム機であると同時に、自分が見たいものを見るための“パーソナルテレビ”になるでしょう」

――最後に、「P-TV」に興味を持ったユーザーさんたちに一言お願いします

 「われわれはまだ、サービスの入り口に立ったところですから。コンテンツやサービスの形態を増やし、進化させていくつもりです。まずは使ってみて、意見を聞かせてもらえればと思います」

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