年末商戦においてiPodに代表されるポータブルオーディオの人気は高く、休日ともなれば量販店の販売コーナーには多くの人が訪れる。いささか乱暴な分け方をすると、訪れる人は「個人でPCを持っている人」「持っていない人」の2つに分類することができる。20代以上の社会人ならばPCの所持率は高いはずだが、10代、あるいは50代以上となると個人のPCを持っていないという人は意外と多い。
しかし、PCを持っていなくとも音楽を外出先で楽しみたいという人は多い。これまではポータブルCD/MDプレーヤーがそうした人たちへ提供されてきたが、デジタルオーディオプレーヤーの側からも“PCレス”を提案する製品が登場してきた。そうした製品の一部はCDプレーヤーなどからのアナログ入力をMP3形式などで録音するダイレクトエンコーディング機能を備え、PCがなくてもデジタルオーディオプレーヤーを利用できるようにしている。
しかし、そうして生成されたファイルは001.mp3、002.mp3、003.mp3……、などとネーミングされてしまい、デジタルプレーヤーの利点である曲管理機能は活用できない。松下電器産業の「SV-SD750V」(レビュー)はインターネット接続機能を備えたミニコンポも同時に用意することでPCレスの環境を提案しているが、手軽さという意味では“PCレス”というところから離れてしまう。そこで、ポータブルプレーヤー単体で「完全PCレス」をうたう製品が登場した。
長瀬産業が12月10日より販売開始した「TRANSGEAR HMP-100」は、アナログ入力された曲データの波形を解析、搭載したデータベースと照合して曲情報を取得する「MusicID」技術を組み込んだHDDプレーヤーだ。しかも、データベースに含まれない最新楽曲については、携帯電話を接続することで楽曲情報の検索が可能になる。この“完全PCレス”を実現したプレーヤーの使い勝手について、レビューを通じて探ってみたい。
まずは外観を見てみよう。本体サイズは98(縦)×60(幅)×14.5(厚さ)ミリ、98グラム。第5世代iPod(60Gバイト)のサイズが103.5(縦)×61.8(幅)×14(厚さ)ミリなので、6Gバイト(1インチ)のHDDを搭載する製品としては大柄だ。
JR東日本の成田エクスプレスなどを手がけた「GKインダストリアルデザイン」が担当した外観は、シンプルかつシックにまとめられている(モノリスっぽいという話もある)。本体前面には1.8インチのモノクロ液晶ディスプレイと十字キーのほか、MENU、再生/一時停止、SET、RECなどの各ボタンを備える。
本体上側面にはヘッドフォンとライン入力の端子、本体下側面には接続アダプター用の専用端子を備える。接続アダプターにはACアダプター用の端子と、PC接続用のUSBミニ端子、それに携帯電話接続用のUSB端子が用意されている。接続アダプターを介するために本体に端子が少なく、スッキリしたデザインを実現しているが、利用頻度の高いACアダプター用の端子は本体に備えて欲しいと思う。また、この接続アダプターは外れやすいので、充電やPC接続時には注意が必要になる。
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