なにもホームシアターシステムを買わなくても、オーディオ機器のように、AVアンプと各チャンネルのスピーカーをバラバラに揃えてもよいのでは? そういう考えは決して間違いではない。
良好なサラウンド音響を得るには、アンプとスピーカー、そして、スピーカーどうしのバランスが重要といえ、特に各チャンネルの特性を揃える必要はあるが、決して無理なことではない。それに、最初はアンプとフロント2本のみから始め、サブウーファー、センター、そして、リアと、徐々に構成をステップアップしていける利点もある。
ただ、オールインワンパッケージのホームシアターシステムでも、そういったステップアップに対応する製品がないわけではない。ヤマハの「シネマステーションS35シリーズ」も、その1例である。
この製品は、AVアンプ「AVC-S35」、フロント(またはリアに使う)スピーカー「NS-M025」(2台1組)、「NS-M025」と同等のスピーカーセットにセンターとサブウーファーを追加した「NS-P025」(4台1組)の3つのパーツで構成されている。そして、この3つをさまざまに組み合わせたものが、パッケージとして販売されている。つまり、
というラインアップだ。「AVC-S35」は単体販売していないが、まず「AVX-S35B」を購入して「NS-P025」(定価1万5750円)を、あるいは、「AVX-S35P」に「NS-M025」(定価3万9900円)を追加というかたちで、システム拡張を行える。
また、2chシステムには実はもうひとつ、「AVX-S35D」(実売価格5万5千円前後)という“デラックス”パッケージも用意され、これのみ例外的に、やや大きめのスピーカー(NS-M325)を採用している。つまり、「AVX-S35D」と「NS-M025」の組み合わせが、「シネマステーションS35シリーズ」の中では最上位のシステムというわけだ。ただし、パッケージとしては販売されていない。
今回試したのは、5.1chシステムの「AVX-S35F」である。パッケージ製品の場合でも「AVC-S35」「NS-M025」「NS-P025」の各々が1箱ずつ、計3箱の梱包となるようだ。まあ、重くて巨大な箱1個に詰め込まれているよりは、扱いやすいと思う。アンプと5.1ch分のスピーカーを合わせた機器の総重量は、ちょうど20キロ程度に収まっている。
アンプは215(幅)×70(高さ)×305(奥行き)ミリとコンパクトなタイプで、さらに縦置き・横置きのどちらにも対応する。ただ、小さく収めたせいか(?)、表示部といえるものはない。[ムービー][ミュージック][スポーツ][ゲーム]と並ぶボタンの上にある「シネマDSPインジケータ」、[1][2][3][4]の「入力インジケータ」、そして、主に音量を表示する9個のLED(ステータスインジケータ)が横一列に配置されているだけである。
そのため、ステータスインジケータは操作や状況に応じて、さまざまな表示を行う。このインジケータには各々、右に[1]〜[9]の番号が記されているほか、下側には[−8][−6][−4][−2][0][+2][+4][+6][+8]、そして上側には[ナイトリスニング][Dolby Digital][DTS][AAC][主/副][オート][Dolby Pro Logic II/ムービー][Dolby Pro Logic II/ミュージック][Dolby VS(Virtual Speaker)]と書き込まれ、入力信号の種類や各種モードの表示に使われるわけだ。
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