前回はiPod Shuffleの発表に始まり、ポータブルプレーヤーの多様化までを上半期の出来事としてふり返ってみた。ここからは下半期の出来事をふり返ってみたい。
7月4日にリリースされたiTunes 4.9がポットキャスティングをサポート。「音声版ブログ」として北米エリアを中心に人気が高まっていたが、iTunesでサポートされたことから日本でも一気にメジャーな存在になった。ストリーミング型のネットラジオとは異なり、好きな時間に好きなデバイス(iPod以外でも)で聴くことが可能になったほか、iTunesというメジャーなソフトがサポートしたことで、ニフティや吉本興業、FM東京などメジャー企業も配信を開始した。
米Apple Computerが、iTunes Music Storeの国内運営を行う100%出資子会社「アイチューンズ株式会社」を設立したのも7月の出来事。エイベックス・グループ・ホールディングスが楽曲提供を行うことも明らかにされたが、具体的な開始時期や他レーベルの参加については発表されず。クラシックファンにはおなじみのNAXOSも音楽配信サービスへの参入を発表するなど、依然として音楽配信を巡るニュースも多く見られた。
4月に「iPodから金を取れ」と主張した音楽関連7団体が会見を行ったのもこの月。日本音楽著作権協会の吉田茂 理事長や日本音楽作家団体協議会の川口真 理事らが「iPodなどを私的録音録画補償金制度の対象としないのは文化芸術の振興を妨げる。速やかに政令指定すべきであると考えている」などと気勢をあげた。
“ようやく”という感すらあったiTunes Music Storeの開始は8月4日。都内で行われた発表会には米Apple ComputerのCEO、スティーブ・ジョブズ氏も登場し、サービス開始を祝った。開始時には15のレーベル、100万曲が用意されたが、楽曲のジャンル分けに不備が発見されたほか、人気アーティストを多くか抱えるソニー・ミュージックエンタテイメントが参加していないなど、不満の声も聞こえた。
そのほかの音楽配信サービスに関する話題も豊富だった。エイベックスが携帯電話向けサービス「ミュウモ」と連動する「@music ミュゥモ」を発表したほか、米Napsterとタワーレコードが合弁会社「ナップスタージャパン」を設立し、サブスクリプション型サービスを2006年春に開始すると発表した。iTunes Music Storeの開始に伴い、各社が独自性を打ち出し始めた時期といえる。
ソニー・ミュージックエンタテイメントが同社のコピー制御機能付きCD「レーベルゲートCD2」で出荷された製品を、CD-DAで再出荷することを決定したのも興味深いニュースだった。
残念な話題もあった。MP3プレーヤーの老舗ブランド「Rio」が販売終了となったのも8月の出来事。デジタルオーディオプレーヤーのコモディティ化と低価格化が進む中、勝ち負けが見えてきたことの表れともいえる。
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