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重厚感に溢れたポータブルDVD高級機――東芝「SD-P2800」レビュー(1/3 ページ)

» 2006年01月16日 11時07分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 東芝“ポータロウ”は、初代となる「SD-P1400」のリリース時に小型軽量と手頃な価格を実現し、ポータブルDVDプレーヤー市場を活性化させた存在、といっても過言ではないだろう。続く「SD-P1600」でも、同じく7V型液晶画面を採用し、その特徴を継承。昨年9月に発表された8V型液晶搭載の「SD-P1800」では、外付けのTV/FMチューナー、カーアダプタ、キャリングバッグを標準添付したオールインワンパッケージとなったが、本体自体はサイズ、質量とも若干の増加にとどまり、コンセプトは大きく変わっていない。

 その一方で、「SD-P2700」はかなりの変種といえる。これは1024×600ピクセルという高解像度の8.9V型低温ポリシリコンTFT液晶を搭載し、高性能・高機能を目指した製品で、しかも、画面部には回転機構が備わっていた(180度回転して、そのまま折り畳めば、いわゆるビューワースタイルとなる)。

 そして、最近発売が開始された「SD-P2800」は、その後継モデルと位置づけられるが、画面回転機構はなく、オーソドックスなつくりとなっている。しかし、画面部にこだわりが込められている点では、「SD-P2700」と同じ系統といえるだろう。ただ、“ポータロウ”という愛称は外されたようだ(東芝Webサイトの「SD-P2800」製品紹介ページでも、どこにも“ポータロウ”とは書かれていない。タイトル画像のALTテキスト内には残っているが、おそらく、単なる手違いだろう……)。

photo 9V型IPS液晶を採用したポータブルDVDプレーヤー「SD-P2800」。大画面と多彩な機能を搭載しているだけに、バッテリー装着時には幅261×奥行き179×高さ50ミリ、質量1770グラムとなる

 この「SD-P2800」では、9V型サイズのIPS液晶パネルを採用。IPS液晶は日立ディスプレイが率先して開発・製造を進めてきたデバイスで、視野角の広さが最大の特徴となる。視野角は上下左右とも約170度で、実際に画面の真横に近い位置から眺めても、色調の反転や変化は見られない。個人での観賞が基本となるポータブルDVDプレーヤーでは、さほど視野角の広さは重要視されない感もあるが、“ポータロウ”では伝統的にヘッドフォン端子を2基装備しており(しかも、初代はヘッドフォンも2個付属)、2人での観賞を想定の範囲内に置いているようだ。7V型では多少無理も感じられるが、9V型クラスであれば、グループ観賞もなくはないといえる。

photo 本体右側にはヘッドフォン端子と電源入力を装備。ヘッドフォン端子は2基装備している

 液晶パネルの解像度は800×480で、「SD-P2700」には及ばないが、DVDの記録解像度を考慮すれば、特に問題ではないだろう。画質は解像感・色調ともかなり高いレベルで、気になる動きへの追従にも難は感じなかった。全体に、映像を観賞していて不自然さを感じる部分がほとんどなく、安心して観ていられる品質だ。ただ、あえて難点を挙げるとすれば、明るさ(および、コントラスト)は、若干低めといえる。もちろん、映像調整で設定値を上げてやることは可能だが、そうすると、やや不自然さが出てきてしまう。また、4:3映像を正しい画面比で観るためには、映像調整を数回押して、画面サイズを手動で切り替える必要がある。

photo IPS液晶搭載を前面に押し出しているだけに、映像の表示品質はかなりいい。特に視野角の広さは突出している。解像度や色合いの面でも、不満を感じさせない出来だ
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