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新たな家電ネットワーク「HANA」International CES:番外編

» 2006年01月16日 16時06分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 International CESでひとつのテーマになっていたのが、「家電ネットワーク」。パナソニックは家庭内の電力線をネットワークケーブルに変える「PLC」の提供開始をブースでアピールしたほか、ソニーはロケーションフリーテレビやDLNAによってPSPとつながるAV家電を展示することで、家庭内ネットワークの未来形を示していた。

 時間の関係上CESリポートで紹介できなかったが、2005年12月に発足したHD映像の家庭内AVネットワーク普及を目指す業界団体「High-Definition Audio-Video Network Alliance」(HANA)もCESにブースを出展、自らの目指すビジョンを紹介していた。

photo Samsung製テレビを中心としたセット例。テレビの下にはHD対応のPVR(右)とSTBやチューナーなどからの信号をHANAネットワークにのせるための「NIU」(network interface unit)が並べられている
photo NIUからのケーブルをテレビなどへ接続する際に利用されるリピーター

 HANAにはCharter Communications、日本ビクター、Mitsubishi Digital Electronics America、NBC Universal、Samsung、Sun Microsystemsが参加。ケーブル1本でテレビやSTB、レコーダーなどを接続し、コンテンツの転送や機器の操作が可能な製品を提供するのが目的だ。機器間の接続にはIEEE 1394ケーブルに独自のプロトコルを組み合わせて使用することで、QoS(Quality of Service)やホットプラグ&プレイの実現を狙う。

photo HANAの配布している資料より。ユーザーの利益として「シンプルな接続性」(ケーブル1本での配線、ホットプラグ&プレイ)、「使いやすさの向上」(単一リモコンユーザーインタフェースの提供)、「セキュリティ性の高いネットワーク」の3点をあげている

 「具体的な詳細については現在、検討を進めていく段階」とHANAブースの説明員はコメントしており、技術的な詳細については現在のところ検討段階のようだ。しかし、第一段階の目標として、「1本のケーブルですべてを接続可能とし、1つのリモコンからすべての機器を操作する」「1つのSTBから、家庭内のどの部屋にもHD映像を伝送する」「5チャンネル以上のHD映像を同時視聴/録画可能にする」「PCからAV機器へ、著作権を保護したままでのコンテンツ移動」などをあげている。

 家庭内ネットワークの規格としてはDLNA(Digital Living Network Alliance)が活動を続けており、2006年中には相互接続製のテストをクリアしたAV機器の登場が見込まれている。テレビやレコーダー、STBなど家庭内に存在するAV機器をネットワークで接続し、利便性を高めようとする両者の狙いは近いが、方向性は微妙に異なる。

 DLNAがあくまでもコンテンツの相互運用性を高め、さまざまな機器で動画や静止画、音楽を含めた多種多彩なコンテンツを取り扱うことを目指しているのに対し、HANAは対象となるコンテンツをHD映像に絞っていることが最も大きな相違点。そのほかにも、HANAでは対応テレビにデコードやブラウザーなどの機能を持たせ、ネットワークにおける中核的な役割を持たせる点も異なる。

photo HANA対応テレビはデコーダーとブラウザーの機能を持ち、HANAネットワークの中心となる

 HANAでは今後、計画を3つのフェーズに分けて進めていく。2007年のInternational CESまでをフェーズ1としてテレビやAV機能搭載HDDユニット、NIUの開発を進め、同時に相互接続製テストも行う。2007年前半まではフェーズ2として、ゲームコンソールやホームシアターシステム、ポータブルデバイスまでの開発を進める。これまでには無線の利用やインタラクティブコンテンツの実装についても検証が行われる。そして2007年後半にはフェーズ3として著作権管理技術の強化が行われるスケジュールとなっている。

photo Samsungブースの展示。リビングに設置されたテレビからレコーダー/AV HDD/ベッドルームのテレビへ自在にアクセスできるというデモ

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