(C) 2004 Constantin Film Produktion |
本国ドイツではタブーとされてきたヒトラーを題材にし、賛否両論を巻き起こした問題作。2005年度アカデミー賞外国語映画賞ノミネートほか、ドイツのアカデミー賞3部門を受賞。
1942年11月、森の中にある指令本部、通称“狼の巣”では、ヒトラー(ブルーノ・ガンツ)の秘書採用のための面接が行われていた。興味本位から面接を受けた22歳のユンゲ(アレクサンドラ・マリア・ララ)は、数人の中からヒトラーに気に入られ、採用される。それから2年半後の1945年4月20日、ヒトラーの56歳の誕生日でもあるその日、ソ連軍のベルリン侵攻が本格化。追い詰められたヒトラーとナチス高官は、首相官邸の地下要塞に立てこもる。警察長官のヒムラー(ウルリッヒ・ノーテン)は退避すべきと進言するが、ヒトラーは実行不可能な攻撃命令を叫び続けていた。ユンゲは地下要塞に留まることを決意し、宣伝大臣ゲッベルス(ウルリッヒ・マテス)やヒトラーの愛人エヴァ(ユリアーネ・ケーラー)と寝起きを共にする。極限状態に陥った地下要塞の人々が酒盛りやパーティーに興じる一方で、ベルリン市街では兵士や市民が苛酷な戦闘に身を捧げ、命を落としていった。戦況が悪化をたどる中、ヒムラーら部下たちの裏切りが、ヒトラーをさらに追い詰めていく。
「es【エス】」のオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督が、独裁者ヒトラーの人間的な一面と最期のあがきを、ヒトラーの秘書だった女性の証言を基にリアルにつづる。身近にいた人間にとって、ヒトラーは怪物でもなく、極悪人でもなく、女性には紳士的な態度をとり、飼い犬を愛するごく普通の老人だった。もちろん、彼を擁護しているわけではない。ヒトラーをひとりの人間として捉えることで、凶行を浮かび上がらせ、ナチス体制が崩壊していく様と、歴史の闇を見つめようとしている。また、側近たちや戦火のベルリンの様子も克明に描き、緊迫感とリアリティを増幅。本編の冒頭と終盤に収録されている生前のユンゲ本人の重みあるインタビューも興味深い。
ヒトラーに扮するブルーノ・ガンツは「ベルリン・天使の詩」「時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!」などで知られる名優。メイクを施し、ヒトラー本人かと見間違えるほどの力演は世界中で絶賛された。
特典は、息詰まるような地下要塞のセットの裏側や、ブルーノ・ガンツら総勢12人のスタッフ・キャストインタビュー、監督自ら語る撮影風景、メイキングなど172分のボリューム。人物相関図、テーマ別コラムなど、作品をより理解するための36ページに及ぶ豪華ブックレットも封入している。
画家を目指していた若き頃のヒトラーを描いた「アドルフの画集」や、本作でも登場する軍需大臣シュペーアとヒトラーの関係がより深く描かれた「ヒトラーの建築家 アルベルト・シュペーア」などもDVD発売されているので、併せてどうぞ。
関連サイト:http://www.hitler-movie.jp/index2.html(公式サイト)
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR