コラム
2006年01月27日 16時54分 更新

西正:

テレビの広告モデルに関する一考察 (1/2)

過去に放送されたテレビ番組をネット配信するに当たり、広告モデル、有料モデルそれぞれのビジネスモデルが検証されているところだ。ただ、ネット広告がテレビ広告市場を侵食するかどうか以前の問題として、テレビ広告にもコンテンツの調達を含めて色々な種類があることを再確認しておこう。

民放の系列ネットワークとテレビ広告

 映像コンテンツのネット配信については、ネット系各社が色々な取組みを見せている。その中で注目されているのが、USENの「GyaO」である。これは全くの広告モデルで行われている。一方、優良な映像コンテンツとして期待されているテレビ番組については、過去に放送されたもののうち著作権者たちの了解を得られたものからVOD用途などに提供されつつある。こちらは有料モデルである。

 広告モデルを知り抜いている民放各社が有料モデルで事業展開を行っているところに、広告モデルの難しさのようなものを感じるが、その民放各社も電通とともに広告モデルでのネット配信会社を立ち上げる計画があるという。

 今の段階で確たるビジネスモデルを提唱するのは誰にとっても難しいことは間違いない。過去に放送されたテレビ番組を買ってネットで配信するというモデルに近いものとして、テレビ放送の世界では「番組販売(番販)」がある。

 ネット広告との対比で、テレビ広告もひとくくりに語られがちだが、「番販」を行っている民放の広告ビジネスの多様性を知っておくことも、ネット配信のビジネスモデルを検証する上では効果的であると思われる。

 民放の系列ネットワークを見ると、同系列内での番組調達、広告スポンサーの獲得のスタイルをベースにして、「NN」、「NL」、「LN」、「LL」の4種類がある。Nはネットワーク、Lはローカルを表している。2つのアルファベットのうち、先が番組の調達、後が広告スポンサーの獲得の仕方である。

 だから、簡単に言ってしまうと「N○」とは、キー局を中心に制作された番組が、全国ネットで放送される形態である。民放は基本的に県域免許となっているため、全国ネットで番組を放送する場合には、各地のローカル局は自ら持っている電波を使わせるという理屈になる。そのため、番組制作をした局から、それを流す局に対して電波料が支払われることになる。広告収入とは別の収入になる。

 「L○」とは、各局が自分の免許エリアで放送することを前提として、番組を自主制作する形態を指す。

 自主制作が難しい場合には、キー局等が「L○」で制作した番組を購入してくることになる。キー局等の制作局からすれば、番販ということになる。この場合には、自主制作にせよ、他局の番組を購入してきたにせよ、電波料という収入を見込むことはできない。

 次に「○N」であるが、これはキー局等が全国ネットで番組を放送する上で、全国ネットでCMを流す広告スポンサーもセットで用意しておくケースである。番組を流す局は、全国ネットの番組を制作した局に対して、スポンサー獲得などに要した金額(特別分担金)を支払うことになる。

 その結果、「NN」の場合には、流す局は、制作局から電波料収入を得るが、特別分担金を支払う構図になる。電波料の1割程度が目安となっているようなので、差額分が収入になる。制作局にとって、特別分担金収入は、純然たる番販とは異なるものの、番販収入として計上される。

 「○L」の場合は、流す局が自らローカル・スポンサーを発掘してくるケースである。

 「LN」の大半は、制作局からの番販を受けて番販料を払い、広告スポンサーは制作局に獲得してもらうスタイルである。「LL」ということになると、自前で番組を制作・調達してきて、自力で広告スポンサーを獲得しなければならない。ローカル局にとっては最も採算の見込みにくい形態ではあるが、放送免許を取得している以上、「LL」は“なし”というわけにはいかない。

具体的な運営のされ方

 系列ネットワークの中では、東京キー局の番組制作力は群を抜いている。だからこそ、キー局という位置づけになっている。さらに、全国の大手企業が東京に一極集中している現状では、スポンサー企業を獲得するにも、東京キー局の役割が大きくなるのは当然のことである。

 そういう意味で、民放の収益に最も大きな影響を与えるプライムタイムなどでは、大半の時間が「NN」で埋められるようになっている。しかしながら、「LL」を放棄することはできないのと同じ理由で、プライムタイムであっても、全てを「NN」で埋めてしまうわけにはいかない。

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