(C) 2006 BBC Worldwide Ltd.Distributed under licence by 2 entertain Video Ltd |
アメリカのゴールデン・グローブ賞TV部門で、英国産番組として初めてコメディ・シリーズの作品賞及び同主演男優賞に輝いた快作が、今日ご紹介する「The Office」。本国のみならず、海外でも高い評価を受け、世界60か国以上で放映、日本ではWOWOWでオンエアされた。アメリカでのリメイクも決定している、大ヒット作なのだ。
舞台はロンドン郊外の町スラウにある製紙会社、ウェーナム・ホッグ社の支社。実在の放送局BBC(このドラマを全英放送した局でもある)のドキュメンタリー班が、そこで働くサラリーマンたちの日常をモキュメンタリー(擬似ドキュメンタリー)にして追っかけるというもの。もちろんアクションやサスペンスなんかあるわけがない。ただ単に彼らの仕事の様子や会話を映し出していくだけ。でも、これが退屈しないのだ。そこには痴話喧嘩や同僚とのトラブル、嫌な上司にリストラの危機など、発生する問題が現実味に溢れているので、笑っていいのか笑っちゃいけないのか、困惑する場面も多い。
超自己中心的なマネージャー、デイヴィッド・ブレント(リッキー・ジャーヴェイス)を筆頭に、社員たちはダメ人間がズラリ。軍事オタクで自分のテリトリーを守ろうと必死なマネージャー補佐のギャレス(マッケンジー・クロック)もいれば、一見平凡そうで実はイタズラ好きな営業のティム(マーティン・フリーマン)、倉庫係の男と婚約しているが現在の仕事に不満を持っている受付嬢のドーン(ルーシー・デイヴィス)などなど、「いる、いる、こんな奴」と思わず納得させられてしまうキャラクターたち。
特にデイヴィッドのキャラが秀逸。見栄っ張りで無神経、ウソつきなセクハラ親父。こんな上司は嫌だ、と部下たちを同情の目でみてしまう。彼は自己チューな上に、自分を最高の管理職だと勘違いし、社員研修ではギター片手にオリジナル曲を披露するなど、やりたい放題。しかもドキュメンタリーという設定なので、カメラ目線で視聴者に話かけたりする姿がまた憎たらしい。セカンドシーズでは彼にリストラの危機が訪れ、その暴走ぶりはエスカレートしていく。
イギリスドラマと言えば、「空飛ぶモンティ・パイソン」や「Mr.ビーン」などが思いつくが、その魅力はシニカルな笑いにある。この「The Office」は段々と病みつきになってしまうのがコワいところ。ドラマを見ていて、こんなに居心地の悪さを感じてしまうのも珍しいが、それでも、なんだかウケしてしまう不思議な感覚。彼らのその後が気になって仕方がない。ウチの会社はまだマシ? と感じるか、それとも「ある、ある」とうなずいてしまうか。いずれにせよ、たまにはこんな異色なドラマをご覧になるのもありかと。
DVDボックスはファースト&セカンド・シーズンの全12話に特典ディスクを加えた5枚組。特典はメイキング・ドキュメンタリー、削除シーンなど。「スラウ語」解説とキャラクター紹介付きのフルカラー16ページのブックレットも封入。全4枚の単品も同時リリースされる。なお、泣けると評判のエピソード「クリスマススペシャル」は3月24日にDVD化が決定した。
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR