一眼レフ機のユーザーなら一度は使ってみたいのが「魚眼レンズ」である。約180度の範囲が写り、目の前の風景のほぼすべてを、1枚の写真に封じ込めるレンズ。文字通り魚の目で見たように被写体が丸く写り、強烈な歪みによって肉眼とは違った視覚を味わえる。
少し前までは、デジタル一眼レフ機に使える魚眼レンズは選択肢が限られていた。ニコンは、いち早く2003年にデジタル専用の魚眼レンズ「AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8G」を発売したが、この製品以外、つまりニコンユーザー以外はフィルムが主流の時代に発売された魚眼レンズを使うしかなかった。
フィルム用の魚眼レンズをデジタル一眼レフ機に使っても、もちろん構わない。ただしAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ機では、画面の周辺部がカットされ、歪みのある超広角レンズになってしまう。これはこれで別の面白さがあるとはいえ、魚眼本来の特性はフル発揮できない。
そんな中、ペンタックスは昨年12月に同社のデジタル一眼「*ist D」シリーズ用の魚眼ズーム「smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17mm F3.5-4.5 ED (IF)」を、オリンパスは今年1月にフォーサーズシステム用の魚眼レンズ「ZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheye」をそれぞれ発売した。キヤノンはデジタル専用の魚眼レンズは出していないが、比較的低価格のフルサイズ機「EOS 5D」を昨秋に発売したことで、以前からある35ミリフィルム用の魚眼レンズがいっそう身近になったといえる。
レンズメーカーは今のところAPS-Cサイズ用の魚眼は発売していないが、シグマは昨年末に、従来の35ミリ用魚眼レンズ2本をデジタル用に再設計した「15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE」と「8mm F4 EX DG CIRCULAR FISHEYE」を発売した。
魚眼レンズは、もともとは気象や天文などの学術用に開発された特殊なレンズであり、そんなに数多く売れるレンズとはいえない。例えばペンタックスのリリースによると、魚眼ズームの月産数量はわずか200本。標準ズームレンズの100分の1の本数である。でも、スナップなどの一般用途にも使えるし、使って楽しいレンズであることは間違いない。
ニコン「AF DX Fisheye Nikkor ED 10.5mm F2.8G」は、APS-Cフィルムサイズの撮像素子を持つニコン製デジタル一眼レフ専用の対角線魚眼レンズだ。
開放値がF2.8と比較的明るいことと、今回の5本の中では最も軽量でコンパクトなことが特徴だ。最短撮影距離は14センチで、レンズの前面から3センチの距離まで被写体に近寄って撮れる。
画像ソフト「Nikon Capture」を使って、魚眼特有の歪みをワンタッチで補正し、超広角レンズで撮ったように変換できることもポイントだ。価格は9万8000円で、実売は7万円台から8万円台前後となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR